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孤島からの発信

 このページは、サバイバル渡辺が個人的に発信する場です。これまでの作品など人生の歩みを紹介し、好き勝手にやっています。
 
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サバイバルレポート
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2017/08/30

不条理小話<特別編> 「戦争準備亡国論」

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不条理ショートストーリー<特別編>

「戦争準備亡国論~国と国民はどちらが先に亡くなるか~」

 

「戦争が始まるぞ!」「ミサイルが原発に打ち込まれるらしい」

「何を言う! いいか、落ち着け。そんなことを言いふらしたらパニックになるぞ」

「そうだ。あの連中にしたらアメリカから武器を買う口実になる。下手したらアメリカから独立した軍事国家設立になりかねんぞ」

「あれ、うちは独立国家じゃあなかったんだっけ?」

 

※※※※×・***※**€{<(<^×^>?*******※※※

「どうだ、見たか。1年もしないうちに私の正しさが証明されただろう」

「集団的自衛権も、安保法制も、特定秘密保護法も、共謀罪も、ビッグデータ管理法も、軍事研究開発優先法も強行採決した甲斐がございました」

「さすが総理。憲法改正と見せかけての実質改憲。お見事でした」

「あの脅迫国家の、ミサイル発射と核実験のタイミングは絶妙ですしね」

「私の見通しの方が上ということだろう。これで国民も私が歴史に残る大人物だとわかったんじゃないの」

「おじいさんを超えました。これで内閣支持率も上がり、ノーベル平和賞も夢ではありません」

「トランプ大統領がノーベル経済学賞、金正恩委員長がノーベル物理学賞だね」

「どういう理由ですか?」

「トランプは兵器輸出で軍事経済の優位性を示した。正恩は、手計算で正確に軌道を計算し、グアムの領海すれすれにミサイルを落とした」

「そして、我が国はそれを撃ち損じた」

「余計なことを言うんじゃない!」

「はい!」

********************

「総理、また自衛隊のヘリが落ちました」

「また、とは何だ! これで何度目だ! オスプレイより悪いじゃないか」

「いえ、今度は米国から購入した中古のオスプレイです」

「一体、航空自衛隊の現場は何をやっとる!

「いえ、空自だけではありません。海自では最近も潜水艦が……

「いい、いい。そんな報告は聞きたくもない。いいか、ちゃんとやるように幕僚長にきつく言っておけ」

「ハハーッ」

********************

「ではただいまから自衛隊連続事故原因究明本部ブレーンストーミング会議を開催します。どうぞご自由にご発言ください」

「隊員の士気が下がっています」

「なんでだ!」

「集団的自衛権を行使できるようになり、駆けつけ警護で戦闘現場に行けと言われるのが怖いそうです」

「派遣隊員終身家族手当てを上げて、親や奥さんの了解を取り付けろ」

「米軍との共同演習が実践的になり、目の前で撃ち合うので、逃亡者が増えました」

「バーチャル演習を増やして感覚をマヒさせればいいじゃないか」

「強迫国家から核弾頭を積んだミサイルが発射されると聞いて病人が増えました」

「仮病だろう。ちゃんと診察させろ。それにしてもどうしてこんなに事故が起きるんだ!」

「これまでの訓練は適当というか、余裕がありました。隊員の能力に合わせて教育的プログラムを組んでいたのですが、実戦レベルの訓練に変えたらついて行けないのです。緊張感が高まるほどミスが起きてしまいます」

「使いものにならない奴はふるい落とせ。優秀な若者だけを集めるんだ」

「自衛隊を志願する若者は減っています。このままでは十分な兵力は維持できません」

「女性兵士の方が優秀だそうじゃないか。ここは一つ女性にがんばってもらおう」

「なにか手はありますか」

「まずはネーミングだ。自衛隊ではださい。スマートな名前にしよう」

「生活防衛軍でどうです」

「インパクトがないな」

「では、国民の生命と財産を守り、国土を防衛する軍隊さんの会とか」

「長すぎる」

「平和のために戦う軍隊」「LDA(ライフ・デフェンス・アーミィ)」「安全・安心、結婚相手を見つけやすい日本武装集団」「バーチャルからリアルへ、死んだら生き返らない実戦体験隊」「自分ファースト、だから安心。無人攻撃専門部隊」……

「お前たちは何を考えてるんだ。もっと現実的な名前を考えろ」

国防さくら隊でいかがでしょう」

「さすが、森友さん。では名前は国防さくら隊としよう」

「しかし、女性兵士が増えているといっても、たかがしれています。ここはやはり徴兵制しかないと考えられます」

「憲法の問題もあるし、そう簡単にいかないだろう」

「そんなことはありません。自衛隊の存在と同じように、実態が憲法から離れれば離れるほど、憲法を実態に合わせようという社会風潮になっていますから、実態を作ってしまえばいいんです。これまでも法律を作るまでもなく、閣議だけで重要な決定をしたりしてきたではありませんか」

「それもそうだな。閣僚はイエスパーソンだけだし、ちょうどいいかもしれない」

「それでは閣議決定で決めていただくようにします。総理にはどうやって伝えましょうか」

「そうだな。ここは、奥さまにお願いするということでどうだろう」

「奥さまはいまマスコミに追いかけられていますからお母様ルートがいいのでは」

「では、今回は安全策をとって両方のルートでいこう。キャリアチームはお母様、ノンキャリチームは奥様でお願いしたい」

「官房長官には事後報告ということでいいですね」

「なお事務連絡ですが、お使いのボールペンの字は1時間で消えます。皆様の脳の記憶もそれぞれ定められた時間が過ぎたら消去してください」

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 あれからどのくらいの時間が過ぎたのだろう。

 国家が死んだ。

 いつ滅びたのかは定かではない。いや、まだあるのかもしれない。国家の存在を宣言し、公式記録を管理する国家があるかないのかわからないのだから証明のしようがないのだ。しかし、国家の機能は跡形もないことだけは確かだった。

 不思議なものだ。国民がお金を持っているから、だとか、外貨や外国債をたくさん持っているから大丈夫と思い込んでいたのが悪かったのかもしれない。国家の借金がどんどん膨らんでも、まだ大丈夫、まだ大丈夫と思っているうちに、いつの間にか国がなくなっていたのだ。

 あれは、脅迫国家の脅しから始まった。実際にはそのずっと前から続いていたのだろうが、あのとき、かの国は、核弾頭付きのミサイルを発射すると発表したのだ。それに落ち目の世界の警察自認国家が受けて立ったからたまらない。核の傘に守られてきたと思い込んでいた我が国は当然のごとく尻尾を振って最新兵器を買い、非常時に備えた。それが何年も何年も続いたのだ。何年も何年も。

 わが国はその年、オスプレイ17機とエンジン40基、赤外線前方監視装置40基、ミサイル警報システム40基などの購入を決めた。予備部品と訓練費用などを含んだ諸経費は約3,600億円。オスプレイ1機の価格は諸経費込みで211億円、単品では1機約100億円だった。

 さらに翌年、ミサイル防衛のために、イージス・アショア(陸上イージス)4基を導入した。費用は約3,200億円。さらに、イージス艦2隻で約2,800億円。新型迎撃ミサイルSM-3ブロック2Aも約1,800億円かけて買い込んだ。

 2017年度の防衛関係費は過去最大の5兆1,251億円で、一般歳出の1割弱だった。これはGDPの約1%にあたるが、某大国の3%に比べれば少ないと国民を安心させた。しかし、外国軍駐留予算はこれに含まれてはいない。長期契約の兵器購入が増え、後年度負担という名の支出も容赦もなく増え続け、GDP比も、国家予算に占める比率もとめどもなかった。

 

*********************************

「おい、本当にイージスでミサイルを落とせるのか」

「無理でしょう」

「あっさり言うな。どうしてだ」

「敵は太平洋の島に向けて射つんでしょう。わが国の上空では、ほぼ宇宙空間ですよ。イージスの弾が着く頃にはもう通り過ぎてますよ」

「それを計算して射つんだろう」

「あなた、畳に巣くうダニが見えますか? それを針でつっつく感じなんですよ。わが国のロケットだって、天候が悪いだの、機器に不備が見つかっただのと打ち上げ延期してますよね。あれで戦争ができますか」

「じゃあ、どうすればいいんだ」

「通りすぎるまで、じっとしているだけですよ。大体イージスの弾は1個で10億円以上するんですから。もったいないじゃないですか」

「強力なレーザー光線はどうだ。あれなら正確かつ瞬時に攻撃できるだろう」

「まっすぐにしか行きませんからね、はずれますよ。それにレーザーには追尾は無理です。エネルギーを宇宙にばらまくだけです」

「そうか、じゃあ、レーザーを照射してエネルギーをばんばん宇宙にばらまこう。そうすれば地球表面のエネルギーを少なくすることができ、地球温暖化を止められる!」

「あなた、環境問題を語ってどうするんですか。ミサイルはどうなるんです」

「なあに、これがほんとのハリネズミ防衛なのさ」

「民間機も友軍機も飛べなくなりますよ」

「列島シェルター構想として予算を付けよう」

※※

 わが国の防衛網は毎年複雑緻密になっていった。ミサイルは直接わが国の軍事基地や原発を狙って来るかもしれない。パトリオットPAC-3ではこころもとないとTHAAD(弾道ミサイル迎撃システム・終末高高度防衛ミサイル)を入れることにし、1基約1千億円の税金が投入された。これが全国で10基以上配備されたはずだが、国境周辺の無人島に配置されたらしく、人の目に触れることはなかった。THAADが配備されるまで5年かかったが、その間、かの国から直接ミサイルで攻撃されることはなかった。しかし、かの国の記念日ごとに実験と称してミサイルが打ち上げられ、そのたびにわが国の軍事費は増えた。

 

※※

「わが国の国境周辺の無人島およびそれを結ぶ防衛ラインに最新鋭の軍事施設を配備しました」

「ほう、どこの島かね」

「馬毛島、与那国小島、沖大東島、沖ノ鳥島、硫黄島、南鳥島、聟島、八丈小島、海驢島、国後島、魚釣島、屋嘉比島、城ヶ島、猿島、幸島、男女群島、西ノ島、……

「ずいぶんあるもんだね」

「ええ、日本は島国ですから。アシカ島は岩も入れれば全国に無数にあります。わが民族は、アシカを追って北上したという説もあるくらいですから」

「で、そこをどうしたんだね」

「要塞を作り、レーダーとTHAADを配備しました」

「おいおい、北方4島まで入っとる。国後島は無人島じゃあないだろう。それに実効支配してないし」

「ご安心ください。地下千メートルの地底に地中マグマ守備隊を配備しました。地球上のいかなる場所でも、火山噴火としてマグマを噴出させることができます」

「内地の島はいいのかね」

「村上水軍と九鬼水軍の島について現在計画中です」

「防衛ラインはどんな中身じゃ」

「千島海溝、日本海溝、マリアナ海溝、琉球海溝、フィリピン海溝の深度2千~5千メートルの海底に深海ロボット部隊を置き、すべて高速のインターネットで結びました」

「同盟国軍との連係は大丈夫か」

「はい、既設の正規軍は緊密な軍事共同訓練をやっております。最近はかの国のミサイル撃上実験の度にやっているので隊員はもうくたくたです。実は、今回の件は同盟国には知らせず、秘密裏にやっております。思いやり予算が激減し、わが国は外国からの借金も返せなくなっているので、いつ外国軍が出ていくとも限りません。そのときにこのシステムが必要なのです。我々は、従属国家を脱し、悲願の独立国家をめざして着々と準備しているのです」

 

*********************************

 世界の歴史は、国が滅び、滅ぼされる繰り返し、戦争の連続だった。破壊戦争は教訓も智恵も思慮深い人間も残さないから、残された人間はまた同じことを繰り返す。そのたびに破壊の規模は大きくなり、憎しみの激化と技術の高度化により回復不可能なまでの大打撃を受けるという歴史を重ねてきた。

 わが国が滅んだ歴史の一つは、先の大戦と人が呼ぶ第二次世界大戦(太平洋戦争)での敗戦によってもたらされた。

 敗戦前年の1944年の国家財政は7,3515,000万円で、実にその85.3%が戦費として消えた。まさに特攻隊機や戦艦として海の藻くずと消えたのだが、数字の中に人の命は入っていない。

 歴史を見ると、わが国の国家財政に占める軍事費の割合は、1930年は44,430万円の28.5%だったのが5年後には104,000万円の47.1%に膨れ上がり、さらに1940年には796,350億円の72.5%という驚異的な数値にはね上がった。破れかぶれの戦争の中で、限度もなくお札を印刷したのだろうから、国家財政の数値さえ当てにならないが、戦地ではただの紙にすぎない軍票もばらまいたはずだから、そのときわが国はまともな国家ではなかったと言える。かくして敗戦の結果、財政的にも物理的にも、近代国家の一つが消滅したのである。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 今回の国家消滅は、まず国民の逃亡から始まった。海外留学生は帰国せず、海外旅行者は消えた。外国ではわが国が難民受け入れをしなかった国として記憶されており、難民や亡命の申請をしても受け入れてもらうことはなかったから、人々は静かに海外の山の中に消えたのだった。

 国内に残った人々の生活は悲惨を重ねた。人口は予想をこえて急激な減少カーブを書き続けた。かつては1億人を超えていた人口は1千万人を切り、それもほとんど70歳以上で、子供の姿を見ることはほとんどなくなった。

 一方、政府はほとんど政策決定能力を失い、過去の政策を踏襲するのみであった。従って、軍事費は増え続け、日本銀行券と呼ぶ紙幣を相変わらず大量に印刷したが、それは倉庫に積み重ねられるだけで、もはやなんの価値もなかった。なにせ、銀行権を引き受けるべき銀行は、レトロな廃墟以外何も残さず、完全に破綻してしまっていたのだから。

 国会議員のなり手はほとんどおらず、経験者約百人の中で順に回しているものの、同じ顔ぶれが登場する頻度は選挙の度に高まっていった。いや、それは選挙ではなかった。信任投票とも言えないかもしれない。不信任が増えれば議員の数が足りなくなるので、選挙管理委員会がすぐに消えるインクしか渡さなかったから、×の投票は一票もなかった。

※※

 そして、その日は突然やって来た。いや、いつか必ず来ると誰もがわかっていたのだが、誰も口にしなかっただけだった。だから、その日も実に平穏だった。

 

「国民議会は、地方自治法準用規定に乗っとり、本日をもって廃止する。このあとは、国民全員から構成される国民総会が立法機関として機能する」

 

 しかし、国民総会は一度として開かれることはなかった。地方自治法では構成員の半数以上の出席をもって会議は成立するとなっており、一度も会議が成立することはなかったのだ。

 ただ一度、成立しかけたことはあった。それは、インターネット参加を認めた最初の会議で、実に構成員の1.2倍という驚異的な出席予定率となったが、出席資格を調べたら、多重登録や物故者・国籍離脱者の申請、名義の貸し借りや販売などの不正が多数判明し、結局、開催することはできなかった。

 国民総会によって総理大臣が選ばれることもなかった。そうこうしているうちに、国民のほとんどは海外に流出し、国内の出生率は底を打ち人口は激減、他国からは膨大な海外債務の支払い要求が突きつけられたが、現品(兵器)支払いやデフォルトが認められず、銀行券を送りつけても古紙換算の額が書かれた領収証しか返って来なかった。

 官僚も酋長もいなくなった。国家消滅宣言をする者もおらず、いつ国家が消滅したとは言えなかったが、破綻国家として外国に資産のすべてを差し押さえられ、国連統治地域となった日が国際的に国家破産が認められた日ということになるのだろう。

 その日は、20××815日。

 戦争もしないのに妄想で国が滅んだ日。

 

※※※※※※※※

 

戦争と恨みの記憶が消えない限り、人類社会はもろい。

何かが起きたら、ほんとの終末。人類はいない。

記録も記憶も残らない。

   ※※.We are NOTHING.-空.※※


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2017/04/15

不条理小話外伝 「何でもいいとも! 神ながらの道にルールはない」

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不条理ショートストーリー外伝

「何でもいいとも! 神ながらの道にルールはない」

 

「国会の答弁席でニヤニヤニタニタするのはやめてくださいよ。こっちは大変なんだから」

「君は、奥さんやお母さんのことまで答弁しなけりゃならないからね」

「こんなことなら、先に妻を証人喚問しとけばよかった、と悔やみます」

「そうもいかんだろう。なんせ、君が『妻や私が関与していたら、首相も国会議員も辞めます』と啖呵を切ったときは格好よかった。あれで国民はコロッと君の潔白を信じたんだから」

「最初から素直に『妻と私は全くの別人格であり、たとえ同じことをやったり言ったりしてもなんの共謀もしておりません』って言えばよかった」

「それも無理があるでしょ。共謀には定義がなく、広く網をかけるように仕組んだのは君でしょ」

「でもよくあなたはニタニタしてられますね。そもそもこの問題はあなたのところが火の元です。あなたはそこのトップでしょ。何とかして火を消してくださいよ」

「私は万全ですよ。なんせ証拠をすべてないことにしたんだから。『すべからく正当な手続きと判断によって処理されており、調査の必要もございません』という答弁を百万遍繰り返せばいいから、答弁ミスのしようもない。冷や汗を流している君を横から見てるとつい、ニヤニヤニタニタしちゃうんだ。悪いね」

「憲法も、ナチスのように国民がわからないうちに変えればいいと言ったあなたらしいわ」

「大体教育勅語を唱和させたり、ヘイトに安保法制、あげくのはては幼児の激励、いやいや校名にまで君の名前を付けさせるなんてやりすぎだろう。財務局も大阪府も『往生しまっせ』って不満たらたらだったのを俺が君の心を忖度して黙らせたんだからな」

「そんなのんきなこと言ってて検察の追求から逃れられるんですか。韓国のようになっても知りませんよ」

「僕は大丈夫だよ。なんせ証拠がないんだからね。君の方こそ大丈夫かね」

「私は内閣支持率があるから大丈夫です。私の考えに感動し、私を尊敬している国士が支えてくれます。特に貧乏な若者の支持は絶大です。諸外国にもお金をばらまき、同盟国の大統領とも意気投合しているのはご存知でしょう」

「支持の理由が『他に人がいないから』だよ。はっきり言っておくけど、私はいつでも2度目の首相を引き受けるからね」

「それ、共謀未遂罪ですよ!」

 

※※※××××***※※※××××*********************※※※××××****************

 私はいいとも学園が国有地を払い下げ、小学校を建設する土地を見つめていました。道を隔てて私が議員をやっているT市の公園がありますが、学園の用地も市が買い上げる予定でした。予算が足りなくて断念したのですが、この周辺の土地は空港の周辺なので騒音問題から国が買い上げた経緯があります。その後騒音軽減策が奏功し、一般利用が可能となって市や学園に払い下げることが可能となった訳です。

 私はどうも腑に落ちない点がありました。いいとも学園がいくらで土地を払い下げたかわからなかったからです。私は、情報公開法に基づいて払い下げた財務局に情報公開を請求しました。手にした書類を見て驚きました。金額が黒塗りだったからです。これではなんにもなりません。

 私は裁判所に訴えました。法に従って完全な形で情報公開をするべきだと。

「本件請求を却下する」ー裁判長は聴こえるか聴こえないか位のか細い声で言いました。そして急に荒々しい声に変わり、続けました。

「文書黒塗りの是非は争いの対象になりません。しかし、重要文書の特定秘密に当たる部分を黒塗りにしたことを訴えることは国家秘密保護法に違反し、告発の対象になります。(傍聴席より「問題のすり替えだ」の声あり)不愉快なヤジも罪の対象になります。注意するように。さて、国民の知る権利は公共の福祉に反しない範囲において認められるものであり、国体護持は公共の福祉の最たるものであるからして、よってあなたの訴えは犯罪になります。(傍聴席より「何が国体護持だ」の声あり)そもそも国家は壮大なる家庭にして、家長たる最高権力者の言うことを家族たる国民が聞かなくては家庭崩壊ならぬ国家崩壊を招くことは教育勅語によっても明らか。よって本法廷は、訴えを棄却するとともに、国家の存亡を危うくするという、本法廷において指摘された原告人の犯罪の解明を期待するものであります」

 

*******************************************************************************************

 私は小学校に上がる前、おじいさんの言いつけにより、いいかも学園の日の本幼稚園に通っていました。当時、幼稚園は少なく、通園している子は近所でも私だけでした。園の一日は、みんなで「先生、おはようございます。みなさんおはようございます」と声を揃えて挨拶することから始まりました。

 幼稚園は楽しかったです。ただ、桃太郎や金太郎の絵本がところどころ黒く塗られていたのが不思議でした。先生は黒塗りのところにくると、どこにも書いていない話をしました。しばらくして新しい絵本が届きました。そこには桃太郎や金太郎は鬼と仲直りし、幸せに暮らしました、という平和な世界の絵が描かれていました。

 これはあとから聞いた話ですが、その頃「せんぱん」という鬼が鎖を解かれ、占領軍と仲良く朝鮮半島に戦争をしに出かけたそうです。猿と犬と雉はどうしたかって? やっつけた鬼の供養のために出家したという話を聞いたようにも思いますが、記憶が定かではありません。絵本もすべて風呂の焚き付けに使ってしまったので、証明できるものは何も残っていません。

 

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 私は、結婚直後は夫の言うことに唯々諾々と従う従順な妻でした。また、そういう教育を受けて育ちました。ところが結婚生活に飽きがきて大学院に通ってから世界観が変わりました。私は何も考えず、何も判断して来なかったことに気がついたのです。大学院の先生や海外からの留学生、帰国子女、地方出身者、苦学生、さまざまな環境の人が自らの体験や考えをぶつけ合っていました。私の経験とは異質のもので、それらは生活に密着し、生き生きとしていて、しかも切迫した緊張感がありました。特に、結婚し、子供を育てながら勉強し、研究論文を執筆している女性のエネルギーには圧倒されました。私は、大学に保育園が併設されていることさえ知らなかったのです。私は、一週間もしないうちに別人のように変わりました。決めたのです。「私も行動するぞ!」って。

 夫が二回目の最高権力者になろうとしたとき、約束を取り付けました。決して私の判断と行動を縛ることはしない、と。夫は、どこまで私が決断したか、ちゃんと考えなかったのでしょう。上の空で「いいよ」と言いました。男ってそんなものです。

 私は、東にボランティア活動があれば参加し、西に学校建設運動があれば賛同し、北に原発反対運動があれば見に行き、南に基地建設反対運動があれば話を聞きに走り回りました。安全な食品を使った料理の試食会や女性の社会参加を進めるシンポジウムにも参加し、自然食品を使った居酒屋も開いて、いろんな人々が集い、語り合う場所も作りました。そのどれもこれもが、新鮮でかつ手応えがあり、自分の力でやりきったと思える、素晴らしいものばかりです。私のネットワークはみるみるうちに広がり、たくさんの提案や呼びかけが寄せられるようになりました。そのどれもが世の中を明るくし、人々を元気にするものでした。

 私は言いました。

「全部私がやりたいけど私がやれることには限りがあります。しかし、いいことは実現しなければなりません。必要ならば私の最高権力者夫人の肩書きを使ってかまいません。私はすべてのことを夫に語っていますので、場合によっては夫の名前も使ってください」。

 

 私はどこでつまずいたのでしょうか。いいとも学園の幼稚園を見に行ったとき、子供たちが教育勅語を見事に唱和している姿を見たとき、感動にうち震えました。まるで延暦寺のお坊さんたちがありがたい経文を唱和する光景でした。素直に「素晴らしいですね」という言葉が出て、涙も流れました。空気の振動が体全体を包み、理事長の説明も聞こえませんでした。

 基地建設反対運動の現場でも同じようなエネルギーを感じました。米軍基地の冷たいフェンスと無表情ながら威圧的な機動隊の列の前で挙げる反対派のシュピレヒコールも迫力がありました。みんな真剣に、声を限りと叫んでいました。シュピレヒコールの言葉は耳に入りませんでしたが、緊迫した空気が私の身を包み、体が震えました。

 そういう私の行動のどこがいけないのでしょうか。

 

 いいとも学園が理想的な教育をする小学校を建設するというので夫に伝えると、それこそ自分が理想とする社会の下支えになるというので大喜びで、自分から講演にも行くと言い出しました。理事長に伝えると校名を「安倍川偉人記念小学院」にするということでしたが、それは夫の引退後ということにしていただきました。申請は「アマテラスインペリアル小学校」としたようですが、地元自治体から建設する土地がはっきりしないと認可できないと言われたようです。土地の交渉相手である財務局が煮えきらないというので私に相談がありました。元より夫と同じ思想で、それを具現化する前線で戦っている理事長の頼みですから秘書に言って調べたことをFAXさせました。それでも現場では手続きが進まなかったようです。そしたら、夫のお友達である、あのニタニタ大臣にパーティですれ違ったとき、「大阪の学校の問題はうまくやっておいたから心配しなくていいですよ」と声をかけられたのです。私がときどき夫にぶつぶつ言っていたのを伝え聞いて忖度したのでしょう。借りるの買うので時間がかかったようですが、ゴミが少し出て来きたのを大量のごみ処理が必要なことにして、ただ同然の値段で払い下げたそうです。男どもの浅知恵はそんなものです。私は秘書からその顛末の報告を受けて、理事長夫人とメールで嘲笑い合ったものです。

 

 その後の展開は皆様ご承知の通りです。いいとも学園が、8億円をごみ処理費用として負けてもらったことを隠しながら処理もせず、夫が「しつこい人」と言ったことからぶちきれた理事長が証人喚問で何もかもしゃべってしまいました。元知事が現女性知事に「年増の厚化粧」と言ったことと同じで、虎の尾を踏んだといったところでしょうか。夫や大臣は、理事長はしっぽで、切ることができると踏んでいるようですが、私の方はすっかり時の人となり、マスコミにつきまとわれるし、義母には怒鳴りつけられるし、さんざんな目に遭っています。この頃は自宅に帰らず、知り合いの小さな宗教施設にかくまってもらっています。公務以外はそこでじっとしている籠の鳥です。今度のことは私人としてやったことなので、公人のときは一切しゃべりません。本当は洗いざらい話した方が私らしくてさっぱりするのですが、許してもらえません。理事長のように証人喚問の場が欲しい。今はその要請が来るのを待ちわびております。

 

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ちんおもうにわがこうそこうそうくにをはじむることこうえんにとくをたつることしんこうなりわがしんみんよくちゅうによくこうにおくちょうこころを いつにしてよよそのびをなせるはこれわがこくたいのせいかにしてきょういくのえんげんまたじつにここにそんすなんじしんみんふぼにこうにけいていにゆうにふうふあいわしほうゆうあいしんじきょうけんおのれをじしはくあいしゅうにおよぼしがくをおさめぎょうをならいもってちのうをけいはつしとくきをじょうじゅしすすんでこうえきをひろめせいむをひらきつねにこくけんをおもんじこくほうにしたがいいったんかんきゅうあればぎゆうこうにほうじもっててんじょうむきゅうのこううんをふよくすべしかくのごときはひとりちんがちゅうりょうのしんみんたるのみならずまたもってなんじそせんのいふうをけんしょうするにたらんこのみちはじつにわがこうそこうそうのいくんにしてしそんしんみんのともにじゅんしゅすべきところこれをここんにつうじてあやまらずこれをちゅうがいにほどこしてもとらずちんなんじしんみんとともにけんけんふくようしてみなそのとくをいつにせんことをこいねがうめいじにじゅうさんねんじゅうがつさんじゅうにちぎょめいぎょじ

 

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 私は理事長辞めます。こんなもん、あほらしうてやってられまっかいな。

 私は国士です。この日本の国を真に信義の国にしたいと心から願うてます。教育勅語は素晴らしい。父子・兄弟・夫婦・友人間の人倫、謙遜、博愛、知徳の修得、道義的人格の完成、社会的義務の履行……。誰が反対できます? できるわけおまへんやろ。そもそも道徳というものは、政治や軍事、宗教とは無関係の普遍的な人の道を説いたもので、人生哲学なんです。ただ、私は教育者だからわかってますよ。天皇が、国民に向かって、私はあなたたちを愛するから私を支えなさい、という形になっている。それは国民の判断力を奪うことになりますね。しかし、よく考えてください。人類の歴史は戦争の歴史ですよ。人民大衆の判断に任せて世の中よくなりますか。戦争は権力者が勝手にやったとしてもそれは民衆が支えたからです。民衆は一度として正しい判断はしていない。としたら、永遠に正しい権力者に任せるしかしゃあないでしょ。幸いなことに日本には2千年以上信義の道を極めてきた天皇家というものがある。これは外国の王族や貴族と違います。普遍的な真理を体現しているものこそ神なんです。なんで天皇さんを現人神と呼んじゃあだめなんですか。みんな仲よう平和に暮らしまひょ、と言ってくれてはるんですよ。

 教育勅語を判断力のない子供に唱和させてる、憲法違反だと言われてますが、私は判断するための足場を作ってやってるんです。数学でも人間が証明できる定理と証明できない公理があるでしょ。私は公理を教えてるわけで、たとえば自分の考えを相手に伝える字や文法などのルールを教えていると考えてもらってもいいです。「何の根拠があってそんなことやってんねん」という親もいますから、神代の昔からのありがたい天皇さんの教え、と言えばわかってもらえます。子供たちは信義を守り、社会をよくする立派な大人になりまっせ。

 え、何? 教育勅語は憲法違反であり、法を守れという勅語の教えに反しないかって? 憲法が勅語を否定していると言いながら、勅語に従って憲法を守れだと。それじゃ殺された人間が生き返って、自分を殺した人間を助けるようなもんじゃろ。何わからんこと言うてんねん。そもそも、幕末の維新の志士が江戸幕府の決まりを守りましたか。守ってたら明治維新はできません。私は国士です。平成維新をやってるんですよ。早くしないと平成が終わるんで大変なんです! ごちゃごちゃ言わんと手伝いなはれ。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 私は、いいとも学園のウスメノカミ幼稚院の卒園生です。

 園では毎朝、踊りながら教育勅語を唱え、体で覚えました。ですから信義の道はすっかり体得しています。

 いまの権力者は私たちと同じ道を歩いている人だと聞きましたが、まったく信じられません。

 理事長は貧しい家に生まれ、社会からひどい差別を受けたと聞いています。それでも信義の旗を掲げ、どんなえげつないことをしてでも理想を追い求めてきたからこそ、アへアへノカミ首相から寄付金をもらったり特別扱いをされたりしたのです。普通は献金をするところを逆に「応援するからがんばれ」ってお金をもらったんですよ。それをあろうことか、アへアへノカミ首相は、理事長を裏切った上に罵倒し、犯罪者呼ばわりして晒し者扱いしたんですよ。最高権力者として身を守りたいのでしょうが、それが理想の実現を託した人に対する態度ですか!

 理事長は理想のために手段を選ばなかったことに対する罰は受ける覚悟をしています。アへアへノカミ首相も腹をくくって真相を暴露し、ヤマトオノコらしくお辞めになったらいかがですか。ニタニタ大臣が何をしたかを調べれば財務局の不正はすぐにわかります。

 お友だち大臣のみなさん、アへアへノカミチルドレン議員のみなさん、夜中や休日に仕事をするブラック労働官僚のみなさん。いつまで忠誠を誓い、どこまで忖度をするんですか。必ずとかげのしっぽ切りに遇います。もう無駄なことはやめましょう。

 教育勅語の中でも次のように言ってます。

「そして自分の言動をつつしみ、すべての人々に愛の手をさしのべ、学問を怠らず、職業に専念し、知識を養い、人格をみがき、さらに進んで、社会公共のために貢献し、また法律や、秩序を守ることは勿論のこと、非常事態の発生の場合は、真心をささげて、国の平和と、安全に奉仕しなければなりません。」

 失礼。これは国民道徳協会の口語(誤)訳でした。

「へりくだって気随気儘の振る舞いをせず、人々に対して慈愛を及ぼすようにし、学問を修め業務を習って知識才能を養い、善良有為の人物となり、進んで公共の利益を広め世のためになる仕事をおこし、常に皇室典範並びに憲法をはじめ諸々の法令を尊重遵守し、万一危急の大事が起こったならば、大義に基づいて勇気をふるい一身をささげて皇室国家のためにつくせ。」

 こちらは、旧文部省図書局の現代通釈(「聖訓ノ述義ニ関スル協議会報告」1940年)ですが、こっちの方が原文に近いようです。

 わかって欲しいことは、原文を正しく理解していただきたいということです。それが今回の問題を解決し、意味ある教訓を引き出すでしょう。

「恭倹己レヲ持シ、博愛衆ニ及ボシ、学ヲ修メ、業ヲ習ヒ、以テ智能ヲ啓発シ、徳器ヲ成就シ、進ンデ公益ヲ広メ、世務ヲ開キ、常ニ國憲ヲ重んジ、國法ニ遵ヒ、一旦緩急アレバ、義勇公ニ奉ジ、以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スベシ。」

---------+--+-+----------+--+-+-++-+-+--++++-----++--++--++++---------+--+

 Ye, Our subjects, bear yourselves inmodesty and moderation; extend your benevolence to all; pursue learning andcultivate arts, and thereby develop intellectual faculties and perfect moralpowers; furthermore advance public good and promote common interests; alwaysrespect the Constitution and observe the laws; should emergency arise, offeryourselves courageously to the State; and thus guard and maintain theprosperity of Our Imperial Throne coeval with heaven and earth.(旧文部省、明治40年)

 

 あ、忘れてました。すごくよくわかりやすい現代語訳を高橋源一郎さんが発表してました。全文訳はWebページを見てください

https://togetter.com/li/1090802)。

何をするにも慎み深く、博愛精神を持ち、勉強し、仕事のやり方を習い、そのことによって智能をさらに上の段階に押し上げ、徳と才能をさらに立派なものにし、なにより、公共の利益と社会の為になることを第一に考えるような人間にならなくちゃなりません。もちろんのことだけれど、ぼくが制定した憲法を大切にして、法律をやぶるようなことは絶対しちゃいけません。よろしいですか。さて、その上で、いったん何かが起こったら、いや、はっきりいうと、戦争が起こったりしたら、勇気を持ち、公のために奉仕してください。というか、永遠に続くぼくたち天皇家を護るために戦争に行ってください。それが正義であり「人としての正しい道」なんです。そのことは、きみたちが、ただ単にぼくの忠実な臣下であることを証明するだけでなく、きみたちの祖先が同じように忠誠を誓っていたことを讃えることにもなるんです。

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2017/01/26

不条理小話_付録/朗読劇「屋久島西洋異聞:シドッチが来たろ!」

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◎朗読劇「屋久島西洋異聞:シドッチが来たろ!」

 

登場人物:

A)ジョバンニ・バチスタ・シドッチ

B)恋泊村の百姓、籐兵衛 [小島弁]

C)安兵衛 [小島弁] 

D)五次衛門(平内の百姓)[平内弁]/五次右衛門(西洋記聞、平田)

E)嘉右衛門(平内の百姓)[平内弁]/喜衛門(西洋記聞、平田)

F~L)阿波の漁民7人 [徳島弁]

 **************************************************

 

全員:エイエーエイエーエイエス(ソーレ)

さても不思議や この屋久島に

シドッチ様のお出ましじゃー  [節をつけて]

 

ナレーション:今から3百年ほど昔、宝永5年の旧暦8月、屋久島の南の沖に見たこともない奇妙な大きな船が現れ、やがて消えました。ここは恋泊村、藤兵衛の炭山です。

 

A(シドッチ):イオイオ [普通に]

A:イオイオ [大きく]

A:イオイオ [叫ぶ]

B(藤兵衛):オー、ひったまがった。[ふり返って]オワー、こわぁだいかい! 太か男じゃあ。

 

ナレーション:藤兵衛の目の前には、六尺ばかりの大男、鼻は高く色白、顔は鬼のようですが、頭にはちょんまげをゆい、着物姿に刀を差しています。

 

A:イカコドハココ? イカイダアヤワ

B:なのお ゆーちょっとか。なーンもわからんがよ

A:エクテセマノヲズミ!

B:なー、なーんてよ

A:ズミ! ズミズミズミズミズミズミズミ

B:ズミズミズ? えー、水かい。水なあ屋久島にゃ、どしこでもあっとよ。おてちき飲まんかい。

A:ニキオオ

 

ナレーション:あとでわかったのですが、その大男の名はジョバンニ・バチスタ・シドッチ。イタリア人宣教師でした。

 

B:おー、安兵衛。炭山で化けもんにおうた。わやあ、村にいたてみんなにしあせてくえ。

C(安兵衛):わかった。わやあ、いけんすっと?

B:おやあ、山に戻ってみんがよ。

 

ナレーション:その帰り道。

 

D(五次衛門):藤兵衛、なのぉそげんいそぎょっとかい。

B:おー、五次おじいに嘉右じい。炭山に異人が出たとよ!

D:そわあ、たいへんじゃあ。んろもも行こお。

E(嘉右衛門):いこお。

 

A:ズミ! ズミズミズミ エク

B:あら、わっせちょった。水やったね。んのがあいまでこんかい。

 嘉右じいは大袋、持ってくえ、五次おじいは刀。おわあ、こいがふらふらしちょっから肩を貸してつえてーくかあよぉ。

A:ニキオオ、ニキオオ

B:さあ、着いたろ。水も飲め、とんももかまんか。

 

E:ん? ニキオオ[つぶやくように] ニキオオ オオニキ オオキニ オオキニ[確信を持って]。ん! こああ、逆さ言葉かも。

D:なあんかい、逆さ言葉って。

E:人にわからんように言葉を逆さまにすいって聞いたことがあう。

 

E:いかいだ、あやわ

A:シドッチ ワイオ

E:いかとたき あかこど

A:ヨマニラ

 

B:わいろま なのぉしゃべっちょとか。

E:この人あシドッチちゅう名前で、マニラから来たたぁって。

B:なーしけ、わやあ、わかっと?

E:この人がしゃべっちょっとは屋久島弁じゃんが。

D:なあんて?  そげえな馬鹿なことがあっとかい。

E:マニラでなうたって。

B:じゃんばって、おいにゃなあーンもわからん。

E:逆さま。逆さまに言いよっとよ。チーっとまっちょわんかい。

 シドッチ、まさかさ。にまさかさ えくてうい。

A:マサカサ? さ・か・さ・ま? さ・か・さ・ま こ・こ・は・ど・こ・か・い

D:わかった!わかった! ここは屋久島よ! ケロマイ、浦崎!

B:わいやあ、何しに屋久島に来たとか。

A:ンー、お・い・は・イエスさま・の・お・し・え・を・ジパング・に・つ・た・え・る・た・め・に……

D:なーんて! おい、んろもあ打ち首じゃあ。[びっくり、そして嘆くように]

E:キリシタンの異国人に飯までかませて、話をしたってわかいば、拷問磔かも。[心配そうに]

B:なーしけよ、なーしけ、そげんことになっと! [どなるように]

 

ナレーション:江戸時代は鎖国が続き、遭難で海外に流れ着いた日本人も帰れない時代でした。しかも、キリシタン禁止令は厳しく、宣教師との接触は死罪にも等しいものでした。 パニックになった藤兵衛の家に、最初に異国船を見た四国阿波の漁師7人が入ってきました。

 

F(阿波の漁民1):すんません。ちょっと相談があるんですけど……。[不安そうに]

G(阿波の漁民2):外で聞きよったんやけど、その異人さんと話ができるみたいなんで、お願いなんやけんど、異人さんにわいらとおーてないことにしてほしい、とゆうて欲しいんです。

D:そわあ無理じゃ。宮之浦の奉行所はもう知っちょんろ。

H(阿波の漁民3):そこをなんとか。見よったけど逃げて行ってもぉたということにして。水や薪をもらいよったとか船に乗っとった日本人と話をしよったやゆうことは口がさけても言わんといて欲しいんです。

F~L(阿波の漁民4~7):頼みます![声をそろえて]

 

B:おい、んどもも同じこっちゃ。何とかせんば。

D、E:じゃあじゃあ。

B:おい、シドッチ![命令口調で]

A:わ・か・り・ま・し・た。あなたたち屋久島のにんじは、がっついよか人じゃ。イエス様の教えが分からなくても天国に行けるでしょうが、命も大事です。話も通じず、何ももーわんじゃった、ということにすんがよ。

E:おー、よかった。助かった。

B、D:よかったあ!

F~L:よかった、よかった。

B:シドッチさんなぁがっついよか人じゃ。おーい、焼酎持ってけえ、とんももとびおもかませえ。[普通に]

A:お・い・は、腹がさけても言いません。

E:腹じゃあなくて口! 口がさけても、やんが。

A:そ・い・な・あ、腹を切って話をしましょう。

D:そいは、腹を割って、やんが。

:腹でも口でも切ったい割ったいせえ!わいろま。さあ、飲むろぉー!

全員:飲もお![声をそろえて]

 

ナレーション:シドッチは捕らえられ、宮之浦の奉行所、鹿児島を経て長崎に送られました。藤兵衛ら島の百姓と阿波の漁師らも長崎まで連れていかれ、取り調べを受けましたが、シドッチの申し立てと符合したため無罪放免となりました。

 その後シドッチは江戸に移され、その知識は新井白石によって『西洋記聞』という書物にまとめられました。それが日本の洋学を大きく発展させたことは皆さまご承知の通りです。

  さて、それから306年経った2014年7月、東京茗荷谷のキリシタン屋敷跡から3体の遺骨が発掘されました。そして、翌年、DNA鑑定により一人はイタリア人であることがわかったのです。その人はまさしくジョバンニ・バチスタ・シドッチ、屋久島に上陸したその人でした。

 顔の復元もできました。もしかしたらそのうちに屋久島に戻って来るかもしれませんね。

 

A:お・や・あ、屋久島にもどっかあね~![親しみをこめて]

 

[全員で]

エイエーエイエーエイエス

さてもめでたや

この浦崎に

シドッチさまのお帰りじゃ

 

エイエーエイエーエイエス(ソーレ) [大きな声で]

 

(終わり)


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2017/01/19

不条理小話21 「立て ウジ虫ども、覚めよ 乳酸菌!」

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不条理ショートストーリー21

「立て ウジ虫ども、覚めよ 乳酸菌、暴虐の鎖を打ち砕け!」

  

「かかって来い! このウジ虫ども」

 山田風之助は、刀を晴眼に構えて言い放った。言い終えるのとほぼ同時だったろう。霧のようにある思いが風之助を取り巻き、その瞬間、風之助は「ウジ虫さん、ごめんなさい」と心の中で呟いた。

 ウジ虫さんは悪者ではない。ある意味、生態系の中で汚物を処理し、浄化している功労者だ。風之助は、ボットン便所の中で押し合いへし合いしながらひしめくウジ虫さんたちの姿を思い出していた。

 

 すると、やや痩せてはいるものの目付きの鋭い中年男が賊の間をかき分けて風之助の前にすっくと立った。

「たわけ者。ウジ虫さんをなんと心得る。ウジ虫どもとは、必死に生きているウジ虫さんたちに失礼ではないか」

(ウム、できる!  こやつは何者だ)

 風之助はひるんだ。

(もしかして、こいつもお玉が池の千葉道場? 同門か。周作先生の口ぶりにそっくりだ)

 

「何を言う。確かにウジ虫さんたちには失礼をした。心より訂正してお詫び申し上げる。だが、お前たち虫けらどもを許すわけにはいかん」

「なんと! 虫けらとな。お前はおけらさまに向かって何ということを言うんだ」

 風之助は(しまった!)と心の中で叫んだ。

 おけらさまは、身を落ち葉の中に隠して世の中を掃除してくれる女神さまのような存在だ。落ち込んで夜眠れないときも、「義、義、義」と鳴いて、正義はお前にあると慰めてくれるありがたい存在なのだ。

(まいった!)

 風之助は心の中で叫んだ。

 

「そちの名は?」

 男は答えなかった。

「そなたの名は?」

 それでも男は答えなかった。

「君の名は?」

「麿は、慶良間山の蒲生氏郷ぞえ」

「ハハーッ」

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

<もったいない話1>

あーやは5歳の女の子です。

おばあちゃんにピカピカの革靴を買ってもらいました。

あまりにきれいで、履くのがもったいないので

毎日ピカピカに磨いていました。

1年が経ちました。

あーやは一回もその革靴を履くことはありませんでした。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆◇◇◇◇☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆◇◇◇◇☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 私はO756です。

私は乳酸菌です。

S教授の研究では、免疫力を高め、血糖値を抑える効果があるとされています。

しかし、それは蚕やネズミで実験されたデータで、人間でもそうだという証明にまでいたっていません。

また、なぜそうなのか、のメカニズムもまだわかってません。

乳酸菌そのものの働きなのか、乳酸菌が生成した有用成分の働きなのか。

もし、乳酸菌そのものの働きであれば生きた状態で体に取り込まなければならないし、生成物の働きなら乳酸菌は生きていなくてもいいので、いくら可熱加工してもいいわけです。それは、生成物が熱に強い場合の仮の話ですが。

 

しかし、私が広く使われていないのはそれが一番大きい理由ではありません。

食品としてなら「体によさそう」「動物データでは効果あり」だけでヒットしている乳酸菌はいくらでもあります。名前もわからぬたくさんの乳酸菌をひっくるめて「乳酸菌が数十種類入った」という宣伝だけの食品も出回っているのです。

私にとってもっとも大きく高い壁は、風評被害です。

みなさんはご存じでしょうか。O157という有名な菌を。

しょっちゅう食中毒をおこす悪い奴です。

私はあいつと混同され、悪い菌の仲間にされてしまうんです。

いくら説明しても「O157もどき」とか「O157のお兄さん」と冷やかされてしまいます。

と言っても、私たち菌界では悪い奴もいい奴もいません。みんな平等です。

O157は、牛の大腸菌の一種ですが、牛の体内ではおとなしいものです。ある種のO157がベロ毒素を作り、人間界で食中毒を引き起こすのです。

O756は、元はと言えば、ある動物の体表についている乳酸菌です。

 

私が人間に見つかったときには、まだO157は人間界に登録されていませんでした。

その後、食中毒の原因の一つがO157だとわかって一躍有名になりました。不幸なことに、私も悪者の仲間に間違われることになりました。

 

私はO756という名前をつけたS教授を恨みます。

それは、197793日のことでした。

日本プロ野球界のスター、王貞治選手がアメリカ・メジャーリーグ、ハンク・アーロン選手の持つ世界本塁打記録755本を抜いて756本目を放った日です。

S教授はその日に発見した私に、何の躊躇もなくO756という名前をつけました。いい加減と言えばいい加減です。しかし、学術の世界ではよくあることだと私を同定した大学院生が言っていました。

O157の方の名前にはちゃんとした学術的な根拠があるそうです。よくわかりませんが、遺伝子配列でO抗原が157番目の位置にある菌だそうです。

私が軽んじられるのはネーミングのいい加減さにもあるのかもしれません。

 

しかし、私はまだ望みを捨てていません。

あるホテルの社長さんがS教授の友だちで、いま一生懸命、私を使った健康食品の開発を続けています。成功すれば、免疫力を高め、血糖値を抑える夢の食品として、私は脚光を浴びるでしょう。

 

そうなれば、王選手がテレビコマーシャルに出てくれるはずです。

そして言うでしょう。

O756は、乳酸菌のホームラン王です!」

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

<もったいない話2>

あーやは6歳の女の子です。

おかあさんにお花の飾りの靴を買ってもらいました。

あまりにきれいで、履くのがもったいないので、

毎日眺めていました。

あるとき蜂が飛んできてお花にとまりました。

あーやは思わず足で踏んづけようとしました。

蜂はあーやの足を刺しました。

あーやは腫れがひいてもお花の靴を履きませんでした。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 S教授はシャーレの前で目を見開いたまま、固まっていた。いま目の前に現れた現象をどう解釈したらいいだろうか。

 2つのシャーレの中にはいずれも10匹ずつのウジ虫が入っていた。右のシャーレには、O756が入った餌で育ったウジ虫集団、左のシャーレには、O756を除けば同じ成分の餌を食べた集団を入れてある。両方とも昨日、ある毒を振りかけておいた。そしていま、S教授の目の前で、右の集団はごそごそ蠢き、左の集団は全く動かない。右のシャーレのウジ虫たちは心なしか丸々しているように見えた。

 

 はるか昔、この国にはどこの家庭の便所にもこのようなウジ虫がいた。便所はボットン便所と呼ばれ、雨水が流れ込む家庭では、排便するたびに跳ねた水がお尻にかかるので、腰を浮かし浮かし、用を足す子供もいた。そこには必ずウジャウジャというか、モゴモゴというか、大都会のラッシュアワーの人混みにも似た光景があったのである。

 

 農婦は肥えたごに便所からそれらを汲み、天秤棒にさして畑に運び、人糞としてカンランヤ馬鈴薯に与えた。重労働のあまり腰を痛める人も多く、ノーキョーは農婦体操を普及させてその軽減策に力を入れたものである。その成果があったかどうかは記録にも残されていない。

 

 S教授の故郷は、山深い村、村というよりほとんど隠頓地と言った方が当たっている山の中にあった。そこには電気もガスも水道もなかった。灯油でランプを灯し、薪で飯を炊き、炭火で鮎を焼き、川で洗濯をした。便所はボットン便所だった。

 

 今では絶滅危惧種のウジ虫をS教授は研究室の中で飼っていた。ウジ虫の生命力に注目し、その代謝システムや環境浄化作用を利用しようとしたのだ。その成果は目覚ましいものがあった。にも拘わらず、世に普及しなかった。ウジ虫はずっと嫌われ者のままだったからである。

 そこでS教授は、ウジ虫に黒子の役割を与えることにした。生命力が強いウジ虫を薬の実験台として使ったのである。

 いま目の前の2つのシャーレにいるウジ虫はO756の摂取以外には何の差もなかった。遺伝子も同じ、環境も全く同じ、そしてどちらにも同じ毒が注入されていた。なのに、左側のウジ虫は死に、右側のウジ虫は生きている。すなわち、O756はこの毒に強いということだ。毒の名はO156O756O156に勝利したのである。もちろん人間でにも同じ効果が期待できる。O756は完全に名誉回復することができた。

 比較検証したウジ虫の違いについて、言い忘れたことを一つだけ付記する。実は、念のため、両方のウジ虫とも体表を無菌に近い状態にした。それは元々ついているO756を除去し、餌から摂ったO756だけの作用をみるために行ったものである。

 

 S教授は、この乳酸菌の名前を変えることにした。わかりやすい名前にしよう、と考えたときアイデアが浮かんだ。“Toyosun756”。2020年にオリンピックを開催した都市で、市場移転でもめたことがあったが、そのときの移転先の地名から取ったものだ。建物ができ、さあ開場という寸前に次々に毒物が出て大騒ぎになり、一時は悪いイメージがつきまとったが、一気に毒物を無毒化する新技術が現れ、解決した。今では、大都市の台所として人気スポットになっており、観光客で賑わっている。O756とイメージが重なったのも無理はなかった。

 

 人々を食中毒から救ったToyosun756は、「お口の恋人、トヨスン」と称えられた。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆@☆☆☆☆◇☆☆☆☆☆☆☆@☆☆☆☆◇◇◇◇☆☆☆☆☆☆

<もったいない話3>

あーやは7歳の女の子です。

おとうさんが雪道は危ないと長靴を買ってきました。

あまりに大きくてあーやにはぶかぶかでした。

それでもあーやはおもしろくて履いて外に出ました。

雪に足を取られて倒れてしまいました。

足はすぽーんと抜け、あーやは吹っ飛んでしまいました。

おとうさんは「大は小を兼ねる」と言いましたが

あーやは二度と長靴を履きませんでした。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆@☆☆☆☆◇☆☆☆☆☆☆☆@☆☆☆☆◇◇◇◇☆☆☆☆☆☆

 ばあちゃんはよく働いた。働いて働いて働きずめ。働いていない姿を誰も見たことがないくらいだった。

 段々畑で昔ながらの野菜を作り、時々リヤカーを引いて山を降り、村人に野菜や山菜、ヤマメを売ったもんだ。ばあちゃんのニンジンはうまかった。甘くて、シャキッとして、かじると幸せになった。村の人々はみんな笑顔になった。ばあちゃんは幸せを運ぶキューピットだったんだね。

 ばあちゃんのニンジンの中でも不思議なニンジンがあった。それは細くて、短くて、曲がっていて、小さかった。あまりに貧弱なニンジンなのに、葉だけは青々とし、大きくて、長くて、ふさふさとしていたんだ。

 あるとき、村の若者が遊び半分でこの貧弱ニンジンを都会のフランス料理店に送ったんだそうだ。フランス帰りのシェフが一口かじってみてぶっ飛んだ。脳全体が一瞬軽く収縮し、頂点から発振されたf波がゆったりと脳の表面を覆っていった。眠くなるようなまどろみの中で、はっきりとした映像が目に見えている。脳が感じていたのはなんとも言えない日常の平安だった。それは完全な平和というものかもしれないね。

 実は、世の中に出回っている野菜はすべてF1ハイブリッド種という種子から育てられたものなんだ。人間に都合のよい優性遺伝子を持った親同士をかけあわせると人間に都合のよい性質だけ持った野菜ができる。大量にできるもの、虫や病気に強いもの、大きさが揃っているもの、腐らないもの、色がきれいなもの、まっすぐしているもの、早くできるもの、収穫しやすいものーー手間がかからず、収入が多く、見栄えがよい野菜ばっかりになってしまった。

 ところが、F1ハイブリッド種をかけあわせて種子をとると、劣性遺伝子も現れるので人間にとって好ましくない野菜ができてしまう。だから、絶えず同じ親を交配させる必要があるので農家は毎年、種子屋からF1ハイブリッド種を買わなければならなくなったんだ。いまや農家は自由を奪われ、国際的な巨大企業ジーンマフィアに支配されているんだよ。

 ばあちゃんは違う。ばあちゃんは固定種とも言われる在来種の種子を毎年採って育てている。だが、じいちゃんが死に、子供が都会に住み、一人で暮らすようになってから、耕す畑もだんだん狭くなり、売る野菜も少なくなった。だが、皮肉なことに少なくなるほど野菜の人気は上がったんじゃ。放置した畑に育つニンジンは貧相になったけどうまさは増した。特に、野原のようになった畑のニンジンを探すのは大変だが、うまさは世界一じゃろ。人々はばあちゃんのそれを“放置農法”“原野農法”と呼んだ。

 

 何年かしてばあちゃんが死ぬとなにも残らんじゃろうなあ。じゃが、それでいいんじゃ。

 銀座で涙を流しながら原野ニンジンを食べる感動にどれだけの価値があるというのだ。ばあちゃんは自分が作ったニンジンしか食べちょらん。うまいともまずいとも聞いたことがない。それが普通のことで、当たり前のことだったんだ。生きることに感謝し、食べることに感謝し、働きずくめの人生に感謝している。それが真の平和というもんじゃろうよ。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 ばあちゃんが死んで畑はすべて原野となった。ニンジンはがんばって生きたが、誰も収穫に訪れる者はいなかった。

 ばあちゃんの家の敷地の隅に小さくたたずんでいたぼっとん便所は朽ち果て、倒木や土砂に埋まった。無数にいたウジ虫もいない。

 S教授が引退したいま、この世にウジ虫は存在しない。ウジ虫は完全に絶滅した。

 

 もう、ウジ虫が人類を救うことはない。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 今でも、村には意味不明の歌が残されているんです。あーやだって歌えるよ。

 

F1でもニンジン、F15でも戦闘機、メスの鳥でもオスプレイ、ばあちゃんチャンバラバラ散らし、ぼっとんボトボト泣くものか、かもうてくだされ、ウジの里……」

 

あーやの子どもも歌っています。

 

###☆☆#☆♪☆☆♪♪♪♪※※※※※☆☆※☆♪☆☆☆###☆☆#☆♪☆☆♪♪♪♪


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2016/12/31

不条理小話20 『続々・新々 超コト・ワザ字典<頸部・頭部編>』

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不条理ショートストーリー20

『続々・新々 超コト・ワザ字典<頸部・頭部編>』改訂用原版

 

[口は口ほどにものを言う]

[口は口以上にものを言う]

[口は口くらいものを言う]

[口は口以下にものを言う]

[口は口未満にものを言う]

[口は口を出す]

[口は声を出す]

[声は口を出す]

[物言わぬ口でも口は口]

[口はものを食う 口は人も食う]

[減らず口、口減らし]

<口数:「くちかず」と「くちすう」、どっちの口が多い?>

 

[声なき声が聞こえる人は、声ある声が聞こえない]

[声なき声は声でない]

[声なき声でも声である]

<声出せぬ思いはどんな声?>

 

[言わぬが花]

[言わぬ鼻]

[言わぬ口]

[言わぬが口]

[言わない口]

[言えない口]

[言えば口]

[言いたい口]

[言えぬが花]

<そっちかと問えば 別口と 口が言い>

 

[目は口ほどにものを言う]

[目は口ぐらいものを言う]

[目は口以上にものを言う]

[目は口と違うことを言う]

[目は見る 口は言う 目はものを言う 口は味を見る]

[目は目をつぶって自分の目を見る]

[目は脳で自分の目を見る]

[目の毒 気の毒]

[千里眼 視力4千キロメートル]

[舌先三寸 9.09センチメートル]

[口も八丁 手も872.7メートル]

<目は二つ 鼻の穴も二つ 口は一つで舌は二枚>

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

[鼻筋が通った人]

[鼻が利く]

[鼻が訊く]

[鼻が聴く]

[鼻の下を伸ばす]

[鼻の穴を膨らませる]

[鼻高さん]

[鼻っ柱の強い人]

[鼻っ柱を折られる]

[鼻が利く人 鼻長者]

[鼻毛はスモッグ注意報]

<アロマ 鼻々迷惑 面食らう>

/平和なり 抜いては伸びる 鼻毛かな/

 

[目くそ 鼻くそを笑う]

[目くそ 鼻くそ くそ食らえ]

[鼻くそ 目くそを笑い返す]

[目くそ 鼻くそ 笑い合う]

[目くそ 鼻くそ くその役]

[目から鼻に抜ける]

[鼻から目に抜けられず]

[目から耳に抜ける]

[鼻から耳に 耳から鼻に 自由往来なんのこと]

[鼻から喉に 内視鏡]

<目と鼻の先はあなた>

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

我ときて遊べや親のないカモメ

古池や 亀がとびこむ水の音

わびしさや 岩に染み入るセミの肥え

夏草や つわものどもが夢まくら

五月雨を集めて切れる天井川

おもしろうて やがて悲しき カジノかな

寒々と 人はつれなく 秋の風

柿食えば 鐘が鳴る鳴る 時計台

柿食えば サイレンも鳴る 法隆寺

しかばねも 中くらいなり おらが春

やれ撃つな 雉子は鳴かずにいられない

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

[頭隠して尻隠さず]

[頭隠して尻を出す]

[頭隠せば尻が出る]

[頭出さずに尻を隠さず]

[頭出さずに尻を出す]

[尻出して頭を隠す]

[尻出して頭隠さず]

[尻出せば頭隠れる]

[尻を隠して頭も隠す]

<頭出せば打たれる 尻出せば笑われる どちらも出さねば忘れられ どちらも出せばいじられる>

[頭を掻く]

[頭を書く]

[頭を描く]

[頭を欠く]

<頭をカックン>

[頭が切れる人]

[頭が切れた人]

<切れた腫れたで 頭が痛い>

[頭をひねる]

[頭が上がらない]

[頭を下げさせる]

[頭を巡らす]

[頭を悩ます]

[頭に嵐のブレーンストーミング]

<頭に流れるローレライ>

[柔らかい頭は溶解寸前]

[硬い頭は石灰質化]

[とんがり頭に絶壁頭 初登頂後に飛び下りる]

[頑固頭が脳を拘束]

<頭山から身投げをすれば はらわたまでがめくれます>

 

[脳のシワは知識の宝庫]

[額のシワは苦渋の倉庫]

 

[目を疑うな 耳を疑え]

[頭を疑うな 舌を疑え]

[鼻を疑うな 脳を疑え]

 

/脳曰く「ただ信ぜよ 信ずる者は誰もみな救われる」/

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

[白い顔は百難隠す]

[黒いお顔は涙を隠す]

[青いお顔はお薬隠す]

<赤いお顔は お酒か風邪か それとも誰かのささやきか>

 

[福耳 いい耳 縁起耳]

[耳障りがよい 障ってみた]

[耳目を集める人が 耳目を引く]

[岡目八目 複眼小僧]

[夜目遠目 笠の内]

[夜目が利くほど用がない]

[目は心の窓]

<二階から目薬 黙って座ればぴたりと当たる>

 

[首が回らぬ人]

[首を回した人]

[首をひねった人]

[首が飛んだ人]

<瓶の首 鶴の首 あなたの心に首ったけ>

[首を落とすな 頭を上げろ]

[首を上げたサムライ 首のすげかえ 出世する]

[眉を潜める]

/眉落とし、お歯黒笑顔に 合掌し/

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

・君死にたもうなかれ 人殺すべからず

・スーダンへ 尖閣よぎる 海月夜

  こよい会う人 みな恋しかり

・その子はたち 時に流るる 赤紙の

  おごれる者の すさまじきかな

・道を言わずあとを思わず名を問わず

  ここに抗う君と我と見る

・硫黄島 北方四島 ロンゲラップ

  島人還住何時の日か来る

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

苦虫を潰したような顔

卵をぶつけられた顔

さっぱりした顔

艶々した顔

嬉しい顔

幸せ顔

笑顔

<細工顔 細工しすぎて不細工に>

見目

見た目

見目麗しき

見頃咲き頃花満開

[仏の顔も三度まで]

 

赤い目のウサギは、

おでんの糸コンニャクに歯を立てたとき

中から飛び出た汁のあまりもの熱さに

たまらず飲み込んだ

目を白黒させながら。

為政者は言うだろう。

[喉元通れば熱さを忘れる]

/だが、忘れない人もいる。/

 


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2016/12/07

不条理小話19「闇は限りなく愛を奪い、愛は惜しみなく与えられる」

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不条理ショートストーリー19「闇は限りなく愛を奪い、愛は惜しみなく与えられる」

 

 悪魔は私の心の中で呟く。

「現実と理想は両立しない。理想を実現しようとすると、必ず犠牲が出る。それをごまかすのを偽善というのだ」

 天使は私の耳元で反論する。

「現実だけでは幸せは手にできない。理想を実現しようとする力こそが現実を変えるのです。理想が遠い存在だからといって諦めたら終わりです」

 悪魔が言う。

「理想を求めようが求めまいが、結果がよくなろうが悪くなろうが、すべてこの世にあるものは現実だ。理想を掲げれば掲げるほど現実から遠くなり、生活ができなくなる。人間は欲望の力が大きいので理想を求めることなどできないのだよ」

 天使も言う。

「現実の中にすでに理想は存在しています。希望や夢、前を向く力、助け合う力、すべて理想から出発しているのです」

悪魔も言う。

「それらはすべて単なるご都合さ。人間はきれい事が好きだからね。だが、食えなきゃ人は人を助けないし、生きられなけりゃ希望も夢もないのさ」

「人の存在はすべて善ですから、あなたが言う現実がたとえ醜いものに見えても結局は善につながるのです。その証拠に戦場でも助け合いは存在しています」

「戦場では殺し合いをしているぜ」

「戦いで紛争は解決しないので戦いが続いているのです。戦いをやめれば戦いはなくなります」

「でも紛争や憎しみ合いはなくならないだろう。結局それが現実なのだ」

「でも戦いをやめなければ紛争や憎しみ合いはなくならないのです」

「憎しみも愛も人間の性だから、何をしてもなくならないさ」

「どっちが理想かを確信できれば現実も変わります」

「愛や信頼は裏切りによって簡単に崩れる。理想は現実に簡単にひっくり返される。理想はもろく、現実は強固だ」

「理想はもろく見えても消えません」

悪魔が言った。

「いくら言っても、できもしない理想を掲げると必要以上の犠牲が出るんだ」

 天使も言った。

「それは偽善だからです」

「偽物でない善を見たいもんだぜ」

「私も見たい...」――天使はしゃがみ込んだ。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆◇☆☆☆☆☆☆□☆☆☆☆☆◇☆☆☆☆☆◇☆☆☆☆☆◇☆☆☆☆☆

 中学校で校内暴力が吹き荒れた時代でした。

 県庁所在地にあるその中学校では毎朝のように何かが起きていました。先生が登校すると、窓ガラスが割られていたり、廊下に水が撒かれていたりしていました。

 

 そのすぐ近くに塾がありました。私が友人と共同経営する学習塾です。

 塾を始めようとしたときには理想に燃えていました。ただ勉強を詰め込むだけの学習塾にはしない、勉強が好きになる子を育てるんだ、登校拒否の子も受け入れよう、学習障害の子にも対応しよう、人間的なつながりの中で教育をやるのであれば自分たちも人間的でなければならぬ、雇用被雇用の関係ではなく、理想を共有しよう、働く時間に比例した報酬を得るのではなく、必要な人には必要なだけ、すなわち子供の教育にお金が必要だったり、家族が病気している人は多く、そうでない人は少なくもらう、人間共同体としての理想をめざそう――

 

*************************************

 その塾では恐れたとおり、荒れた学校の空気がそのまま持ち込まれた。学習塾に勉強しに来ているはずの子供たちは、親の期待に反して勉強しようとはしなかった。7、8人まではよかったが、1クラス10人を超え15人くらいになると問題児が2、3人混じり、統制が効かない。プリントをやらないのは序の口、無駄話を続けて講師の声が聞こえなくなる、「先生、数学をやって将来なんの役に立つんですか」とわざと質問する、あげくの果ては席を離れてぶらぶらする者まで現れた。最初の頃はやさしく答えていたものの、真面目な子の冷たい視線を感じてキレた。うるさい子供たちに向かって怒鳴り付けた。「静かにしろ!」。最初は効いた。だが、すぐに騒がしくなる。席を決め、ときに席を変えたりもした。塾が終わってから授業を妨害する子と個人的に話し込んだりもした。大人しく話を聞き、わかったと言って帰るものの、次の授業ではまた騒ぐ、ということを繰り返した。

 一緒に働く友人は、授業のはじめに「黙想!」と号令、1分間ほど目を閉じさせ、静かにさせていた。私は、それが管理教育に見え、校内暴力の背景と重なって導入できなかった。

 

 ある日、中学1年生のクラスで背の高い男の子がブラブラと教室内を歩き始めた。注意をしても効かず、私はカーッとなって子供の胸ぐらをつかんだ。「座れ!」。子供はぎょっとしたようだったが、私の手を振り払おうとした。私は力を入れ直しぎゅっと握り返すと、二人の体がくるくる回って、外に飛び出した。私は我に返って手を離した。

「こんな塾なんかやめてやる」

「ああ、やめろ!」

 子供は帰り、授業が再開された。

 

*************************************

 少しでも塾を明るくしよう、自分たちは何があってもあなたたちを見捨てないという姿勢をわかってもらいたいと、生徒を迎え入れ、見送るときに努めて明るく挨拶を続けました。愛の一声運動と自分に言い聞かせたのです。  

 あるとき中一の女子生徒が、「さよなら」と声を振り絞って見送る私の前を通りすぎる一瞬、「死ね!」と言って帰って行きました。氷のような冷たい目が私の脳裏に焼きつきました。

 その日、どうしても家路につけない私は家庭訪問をすることにしました。すでに夜も更けて時刻は午後11時に差し掛かっていました。

 「どうして気にすんの。みんな普通に言ってるよ」――女子生徒は不思議そうな顔をして私に答えました。

 

*************************************

「康弘くん、田中くんと一緒に帰るんじゃなかったの」

「うん」

「親友じゃなかったっけ」

「ううん」

「なんかあったの?」

「別に」

 

 つい最近まで田中くんと肩を組んで歩いていた康弘くんは、いじめられないために群れの中に入っていただけだった。力関係が変わったのだろう。今では挨拶さえしない。心まではつながっていなかったのだ。いや、心がつながるような関係ではなかったのだ。肩は組んでも心は別々。みんな寂しい“仲間たち”。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆◇☆☆☆☆☆☆□☆☆☆☆☆◇☆☆☆☆☆◇☆☆☆☆☆◇☆☆☆☆☆

 この国では、1970年代の終わりごろから校内暴力が社会問題化した。

 校内暴力とは、学校内で発生した対教師・生徒間・対人への暴力や器物損壊を合わせた暴力行為である。1983年には全国の中学校10,314校の13.3%にあたる1,373校で3,547件の事件が教育委員会によって報告された。

校内暴力は、80年代後半には終息に向かい、1986年以降は比較的安定的に推移したとされる。代わって学級崩壊やいじめが急増し、子ども同士の殺人事件や家族を手にかける凶暴事件も社会問題化してきた。しかし、校内暴力の問題が解決したわけではない。実際にバブル崩壊後の平成5年辺りから急激な増加傾向を示すようになり、2000年度には約35000件という数値になった。問題は積み重ねられ、多様化し、複雑化しているのだ。校内暴力が沈静化したのは、管理教育が徹底したからと言われている。体育の教師が前面に押し出され、生徒への暴力が増えたという話もある。いじめがクローズアップされたのは矛盾が生徒の内面に押し込められたという側面を忘れてはならない。

一方では統計の取り方の問題もある。社会問題は意識されたとたんに数値化されるが、それ以前から厳然として存在しており、さらに基準の設定によって数字はいくらでも変わる。したがって、数字の動きだけで社旗問題を論じてはならない。実際、校内暴力事件の件数の数え方は、1996年度以前と1997年度以降、2007年度以前と2008年度以降で変わっており、単純に数値を比較することはできない。1997年に決められた認定基準では、文部省が暴力行為を類型化し、認定基準を細かく設定した。対教師暴力では、「教師の胸ぐらをつかんだ」「教師めがけて椅子を投げつけた」「教師に故意に怪我を負わせた」などの具体例を示し、子どもたちの行動の背景が抜けたままで校内暴力のイメージを方向付けた。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 あの時代は身も心もズタズタでした。若さだけで走り回っていたようなものです。でも理想は捨てるまい、目の前に自分たちを必要とする子や親がいる、学校や地域で孤立している人もいる、一人でも感謝してくれる人がいる限りがんばろう、という思いでした。

 塾で気になる子がいたら深夜でも家庭訪問をしました。親と一緒のせいか、ほとんどの子は家で話をすると普通のいい子なんです。「塾ではどうしてもああなっちゃう」――しみじみ話をしてくれます。心がつながったと思って帰るのですが、しかし、次の授業ではやはり同じように授業で騒ぎます。学校での人間関係から格好をつけてしまうと言うのです。

 学校ではらせない鬱憤を塾で発散していた子もいただろうと思います。どの子も自分をコントロールできないでいました。「この子たちは愛情に飢えている。抱きしめてくれる大人がいない」ということに気がつきましたが、私自身はどうすればいいのか、わからないままで毎日が過ぎていきました。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 1980年ころ、あるヨットスクールで、子供たちの死亡や海での行方不明が相次ぐという事件が発生した。指導者が教育を理由に加えた体罰で子どもたちが死んだり、ヨットから海に突き飛ばして行方不明にさせたりしたというのだ。暴力性のある子や精神障害のある子に、自然の厳しさ、スポーツの喜びを体験させることで自らの行動を律することを身に付けさせるというものだったが、校長やコーチらが傷害致死の疑いで逮捕され、行き過ぎた指導だと非難された。悲惨な事件ではあったが、同調する人もいた。その人たちは必ずしもスパルタ教育論者だけではなかった。手に負えない子どもを持った親や指導する教員は疲れはてていた。どこにも光が見えない状況に追い込まれた人の中には、スポーツの教育力に頼りたい人もおり、心のどこかで強い力に頼りたいという本音に近い感情を抱いても不思議ではなかった。実際、23年後に刑務所から出てきた校長は、これからもヨットスクールをやり続けると宣言した。それだけの社会需要があったのかもしれない。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 「考え方は一つじゃあないんだよ」「模範解答と違うやり方でも本当に間違いとわかるまでやってごらん。それで解けることもあるよ」――数学の授業では、子供たちが陥る考えのすべてについて解説し、別解があることを教えようとしました。回り道でも自分の考えでいいときもある、ということをわかってほしかったのです。でも、子供たちは嫌がりました。「先生、学校で教えるやり方だけでいいです」「試験で書く答えを教えてください」「いろいろ言われてもわかりません」――子供たちは模範解答だけを欲しがりました。問題の数だけ答えを覚えようとするのです。それは完成することのない、無限の努力を要する道です。

 予備校で、大学受験生に物理の別解を教えるときにも同じようなことがありました。学校で詰め込み教育を受けている子どもたちにとっては当たり前と言えば当たり前のことなのかもしれません。

 

*************************************

 できない子供には塾の授業のあとも残して教えました。できない子たちは、どこかの時点で勉強につまずき、学校の授業に行いていけなくなったのです。そこまでさかのぼって教えようとしました。模範解答を覚えられず、自分は頭が悪いと思っている子に、数学は覚えるのではなく、やり方が分かれば全部できるようになるんだよ、とさとし、ないか、納得しないと次に進めない子に、諦めないでもう少し考えよう、こう考えたらどうなる? と励まし、あの手この手を使いました。多くの子は面倒くさがりました。でも、やってみるか、と考え始めた子がある日突然

「わかった!」と声を弾ませたときには、ああ、これが教育の醍醐味だと思ったものでした。それが続かないのも現実で、辛抱、辛抱と己に言い聞かせながらでしたが、こちらが必死で教えようとしている気持ちはわかってもらえたと思います。もしかしたら、こんなに一生懸命やってくれるのだから付き合ってあげようと思っていたかもしれません。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 できない子や乱暴な子もよく面倒を見てくれるというので、そういう子は残り、親からも感謝されることもあったが、問題児がいる塾には行きたくないというので、成績のいい子やおとなしい子は塾をやめていき、塾の経営はどんどん悪くなった。逆に負担は増えていった。

 

 その塾の生徒数が減り、赤字経営が常態化するなかで、僕は自分で教えるかたわら他の仕事にも精を出した。予備校の講師、編集者、フリーライター。受験雑誌への原稿料やラジオパーソナリティ出演料などは仲間の講師料として消えた。

 そんなとき、若い講師が言った。「あんたは経営者だろ!」。塾の経営状況もざっくばらんに伝え、意見を聞こうとしたときだった。

 

そのとき、私の中で何かが弾け、何かが崩れ落ちた。

 

*********************************

悪魔が破片を拾った。「ほうら言わんこっちゃない。お前の偽善のせいでどれだけ犠牲者が出たかわかりゃしない」

 天使が破片を受け取った。「あとで繕っておきます」

 

***************************************

 友人は経営の建て直しについて真剣に考えていた。

 当時の高校入試に対する中学校の指導は、民間が主催し、県内のほとんどの中学校が採用する全県共通模試の成績と内申点(調査書の成績)で受験高校を決めるというものだった。学習塾はその全県共通模試でいい成績をとらせることが大きな目標になっていた。

 そのシーズンに入って間もない頃、友人がすでに模試を実施した学校から問題を入手したという話を聞いた。確かめると、これから模試を実施する学校の生徒に問題を教えると言う。当然のことながら議論が始まった。「生徒にいい成績を取らせていい高校を受けさせたい」「他の塾もやってる」に対して「実力以上にいい成績を取って、受けたい高校を受験しても落ちたら何にもならない」「不正をやってると言われたら塾の評判は落ちる」と主張した。しかし、友人は譲らない。「中学校は成績をたてに必要以上に安全な高校を行けさせようとする。仮に実力以上にいい成績を取っても本来受けられるレベルの高校を受けられるようになるだけだ」と反論した。

 結果として、友人がどうしたかはわからない。そのままの問題を解説したのか、類似問題を作ってやらせたのか、問題と同じ分野の知識を解説したのか、あるいは何にもしなかったか。

 いずれにしても、私と仲間の間の認識はどんどんずれていくように私には思われた。

***************************************

 英語の授業をお願いしていた在日コリアン2世の女性は、いうことを聞かないばかりか反抗的な姿勢を見せる子供たちの前に立つ気を失っていた。私は「いろんな立場の講師が目の前にいるだけで意味があるんだから、がんばってくれ」と説得した。が、「考える」と言ってくれた彼女の答えは「やはり無理」だった。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

順番を間違えると大変です。

トイレでパンツを脱いでからおしっこをしても

問題はありませんが、

おしっこをしてからパンツを脱ぐと

ボケの始まりと言われます。

 

子どもの教育でも同じです。

叱ってから抱き締めると情のあるいい子に育ちますが

抱き締めたあとで怒るとグレます。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 変な塾ではあった。お母さんたちがグループを作り、日曜日に私を呼んで勉強会を始めた。襟をつかみ合って塾をやめた子が、塾が終わる時間帯を見計らってふらっと顔を見せたりもした。塾が終わって深夜営業の八百屋に寄ると家庭内暴力の相談を持ちかけられたし、塾の対象年齢ではない小学生の登校拒否の話も持ち込まれた。

小学生のときに心を開く場があれば、と思い、「表現力講座」と称して、好きな文章を書いたり、発表したりする授業も開設した。私も一緒になって作品を発表した。生徒はいつまでも二人しかいない教室だったが、一人は私立中学に入学し、講座が役に立ったと親から感謝されたのはせめてもの救いだった。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

愛は

心に溢れるほど注がれ

常に新しく

必要十分以上の存在でなければ

人は満足しない

だから、あるやなしや意識しなくてもすむ“空気”でなければならないのだ

 

ひとたび流れが途切れればまたたく間に闇が広がり

心に満ち溢れるまでに

どれほどの時間がかかることか

 

だが、愛はつきることがないから

必要なときに

必要な人に

必要なだけ

与えられる

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 ときどき塾の帰りに寄って子どもたちの話をしていた八百屋のお母さんに言いました。

「塾をやめて外国に行くことにしました」

「えー、なんで?」

「ちょっと考えるところがあって」

「いてよ! この街に」

「でも塾をやめるし、いても忙しくて立ち寄ることもできないと思います」

「いいよ、それでも。同じ街に先生がいると思うだけで安心だから」

 ああ、ありがたい、と思いました。自分の存在を認めてくれる人が一人でもいてくれる。私は何も言えず、動くことさえできませんでした。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


22:32 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0) | 政治・行政
2016/11/06

不条理小話18 「絶対的倫理は限りなく形を求め、思いは凶器となる」

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不条理ショートストーリー18

絶対的倫理は限りなく形を求め、思いは凶器となる

 

 古めかしいものの一応国の文化財に指定されている会館の一室では、今日もモラルマモル研究所の「第161015回早朝倫理の会」が開かれていた。

「みなさん! おはようございます!」

「おはよーございます!!

  40名ほどの参加者の声が部屋に響き、早朝の、澄みきったとは言えない都心の空気を震わせた。

「本日は、モラルマモル地域リーダーの渡辺が皆さま方の先導役を務めさせていただきます」

「それでは最初にモラルマモル憲章を唱和します。本日は第9条になります」

 リーダーは聖書のような書籍を取り出した。

「私たちは、絶対倫理を誠実に実践し、」

 リーダーが大声で読む。続いて参加者が声を揃える。

「愛と真心をもって家庭と組織の正義と秩序を守ります」

 続いてリーダーが読む。

「私たちは、前項の目的を達成するために」

 参加者が続けて唱和する。

「人のために働き、世のために我が身を捧げます」

 リーダーが読む。

「私たちは、絶対倫理を広めるために」

 参加者が唱和する。

「我が身を律し、社会の模範となるよう活動します」

 

 間をおいてリーダーの発表が始まった。

「先日、私の会社で社員が倒れました。救急車で病院に運ばれ、事なきを得ましたが、日頃から糖尿病の気があったようです。私は社員に気を入れて働かないと怪我をするし、病気にもなるとカツを入れてきました。調べてみると、社員はタイムカードを押したあとも残業をしていたのです。遅くまで仕事をしていることは見ていてわかっていたのですが、ただ頑張ってくれているとしか思っていませんでした。カツを入れるだけではダメだ、実態を正確に把握しないといけない、社員の声を聞こうと朝礼を始めました。交代で社員に3分間スピーチをさせ、そのあと私が絶対倫理の立場から講評をしています。社員たちも明るくなったように思います」

 

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「麗子! 麗子!」

 久しぶりに会った友人と喫茶店に入った。

 友人が手を挙げて店員を呼ぶ。

(お、ずいぶん気安いな。馴染みになってんだな)

 彼は独身だから気楽なものである。どこでも女の子に声をかける。

「麗子 ちょうだい」

(何それ?  麗子さんをください、ってか。)

「お前 何にする?」

「コーヒー」

「じゃあそれ」

 テーブルにはアイスコーヒーとホットコーヒーが運ばれてきた。

 

 麗子が冷コだとわかったのは、帰りの新幹線の中でだった。

 

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 モラルマモル早朝倫理の会では講演に移っていた。拍手のあと、本日の講師が紹介された。

 

「本日は、大学卒業後大手証券会社に勤められ、定年退職後はプロの大道芸人として活躍なさっている風流大道芸家元、黒原赤治兵衛先生にお話をうかがいます。題して『この道一筋どこまでも』です。では、黒原先生、よろしくお願いいたします」

 

 ンンム、ム!  さあさ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。ご用とお急ぎでない法人の皆さま、おはようございます。早朝の貴重な時間なので本題に入ります。

 会社にあっても自己実現活動を怠りなく。純粋な魂をいかに保つか、様々な妨害があろうとも精神をピュアに貫き通すことです。

 私は経済学部を出て証券会社に入りましたが、バブル時代のマネー社会で、倫理は地に落ちていました。金をどう使っていいかわからない人がたくさんいました。借金して土地を買えばもう大金持ちの気分という人も多く、土地の転売や株で大もうけしたという話ばかりが広がりました。なのに、いや、だからこそと言うべきか、福祉や医療、教育に寄付をするという人は誰もいませんでした。

 私は金儲けの片棒を担ぐことに生き甲斐を感じていました。が、あるとき、広い屋敷を持っている独り暮らしのお爺さんが外国債への投資で大損を出し、先祖に対して申し訳ない、一族の恥だと首をつって自殺したのです。

 私はげんのうで頭を殴られたようなショックを受けました。それから人の幸せは何かを考えました。若い自分には深くはわかりませんでしたが、少なくとも金と関係なく人が笑顔になることを考え、大道芸に行き着きました。それから仕事をちゃんとやっているふりをしながら稽古に励みました。

 皆さまはそういう私がなぜ、定年まで会社を辞めないですんだか、不思議でしょう。面白いもので、私の大道芸を好きになり、応援してくださるお客様が増えたのです。芸は身を助く――多くの人が弟子になり、客になり、大道芸と営業が両立、逆に成績が伸びたのです。支店長に、支社長に、という話もありましたが全部断りました。それでは大道芸ができなくなってしまうからです。

 内緒でやるためお座敷大道芸というものも開発、家元になりました。日本舞踊と新内を合わせたような「風流ガマの油売り」という作品もあります。

 さあ、定年になって「お金ばかりが人生じゃあない」ということを、今度は本当に大道に出て訴えようとしたとき、バブルは弾け、世間の人は貧乏になっていました。でも私はすでに人生で大事なものが何かをわかっていましたから、大道で、そしてお座敷で大道芸を披露し、教え、貧乏である方が人間の本質がわかり、人生を真に楽しむことができるということを訴えてきました。貧乏万歳! です。

 皆さまも会社が倒産することを恐れず、貧乏になっても続けられる一芸を磨くことをお薦めします。

 

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 ある日の大手新聞の朝刊に全面広告が掲載され、刺激的な表現が踊った。

「私たちは違法な報道を見逃しません」

「 私たちの知る権利どこへ?」

 

 ある民放テレビの報道番組で、メインキャスターが国会で採決直前の法案に対して「メディアとして廃案に向けて声をずっと挙げ続けていくべきだ」と発言したことがあった。そのことが、「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」という放送法の規定への「重大な違反行為」に当たるとして名指しで抗議する意見広告だった。

 その法案は、推進派は国を守るとし、反対派は国民を戦争に巻き込むとして激しく対立するものであったこともあり、反対派から言論弾圧だとの批判も上がった。その後、と大きな議論にはならなかったが、テレビの報道番組では政府に批判的なキャスターやコメンテーターの降板が相次ぎ、テレビ画面からはデモや市民集会のニュースが減り、自由闊達な議論が消えて行った。

 

 意見広告の広告主は「放送法遵守を求める視聴者の会」。呼びかけ人には作曲家や作家、学者、評論家、元キャスター、団体役員らが名を連ねていた。

 

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「すみません。この近くにマクド、ありません?」

「何?」

「マクド」

「だから何?」

「だからマクドですよ。マクドナルド!」

「マクドナルドやったらマックやろ、マック!」

「えっ、でもご当地ではマクドだとお聞きしましたが……

「古いな、ここではみなマックやで」

「え~、でも……

「昔はそう言うたかもしれへん。けど、今はそうなんや。グローバル化で世界標準に揃えたんやろ」

「でも、うちの地域では、ご当地の出身者が運動してほとんどの人がマクドと言ってます。我が国の伝統として、一音ずつはっきりと発音するのが正当だと」

「いまごろ何寝ぼけたこと言うてんねん。そんなこと言うてるさかい国がおかしうなるんや。マクド言うてるからハンバーガーが売れへん、言われて、全地球国・地域間経済連携協定の投資家対国家紛争解決条項(ISD)で外国の企業から訴えられて何億も賠償金とられるんやで。もっと金銭感覚を鍛えんかい、このボケ」

「ハイ」

 

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「最近テレビが面白くなくなったね」

「うん、政府広報みたいだ」

「国会も子どもの口げんかみたいで、政策の中身がさっぱりわからん」

「いつの間にか年金が減っていたり、原発事故の処理費が何兆円にもなったり。どこで決まってるんだ」

「原発も市場移転も金ばっかりかけて何の役にも立ってないよ」

100円だったレタスが400円にもなってるのになんで議論しないんだ」

「テレビも何にも言わないもんな」

「庶民ジャーナリズムはどこに行った!」

 

「そう言えば、テレビで歯に衣着せぬ言い方をしていた学者の顔、見なくなったね」

「現場重視のスタッフたちがどんどん閑職に飛ばされてるらしい」

「この前、公共放送のトップが、勝手なことを書いたり言ったりした奴は、そういうことができない部署に回すって言ったらしいよ」

「なんでそれが問題にならないのかな」

「政府もマスコミも倫理観がないんだよ」

「俺たちだって朝早くから倫理の勉強をしているのに」

「実はそのことだが、干されたことがあるジャーナリストに聞いたんだけどね」

「なあに?」

「うちの本部から金が出ているという話があるんだ」

「よくわからん。何のことだ」

「ほら、ちょっと前に、国民の知る権利を奪っているテレビキャスターはけしからん、という新聞広告があったろう」

「うん」

「新聞2紙の広告費が4000万円とも6000万円とも噂されてるんだけど、そのお金の出所がうちの本部だと言うんだ」

「嘘だろう?! だってうちは絶対倫理を掲げてるんだよ。倫理的でないことをするわけないよ」

「いや、それが怪しいんだ。幹部が呼びかけ人になっている」

「どういうつながりなんだ」

「倫理活動のそもそもは新宗教団体から始まったって知ってる?」

「なんとなく」

「何回か分裂騒ぎもあったけど、社会秩序の確立や家庭教育の復権などを主張するリーダーたちはつながっているらしい。政府批判をするマスコミはおかしいって言ってるグループもつながってる」

「なんで倫理活動に関係あるの?」

「憲法に倫理を守ろう、道徳心を持とう、と書きたいんだ」

「なんで倫理観のない人たちがそんなことをするんだ」

「洗脳すると統治しやすいということさ」

「俺たちの倫理は指図されてやるものではないんだ。勝手な真似をされてたまるか」

「そうだ。俺たちはほんとの倫理を守ろう」

モラルマモル研究所の会費は個人会員で年6千円、法人会員だと年12万円である。個人会員は約20万人、法人会員は約6万社なので、年間の会費収入はざっと84億円になる。さらに賛助会員などは会費が高く、寄付や出版・イベント収入などもあるので、1年間に膨大な収入が入ることになる。モラルマモル研究所は公益社団法人である。会費に税金はかからず、寄付した人はその分、所得控除される。

 

☆☆☆********☆☆☆**********☆☆☆*********☆☆☆*********☆☆☆

「理事長、この1ヶ月間急激に会員数が減っています!」

「減る時だってあるだろう。今は、週刊誌に陰の改憲スポンサーだという記事が出ないようにするのに精一杯なんだ」

「それがすでに会員の間にその噂が広まっているようなんです」

「なんでだ」

「裏切った幹部がいるようです」

「すぐに除名しろ」

「しました!」

「どうなった」

「モラルツラヌク研究所を作って分派活動をしています」

「偉い先生方に頼んですぐに潰せ」

「それどころではないんです。うちの会員が、上意下達の組織はおかしい、個人の良心が絶対倫理活動の原点であり、大きい組織は必要ないから会費は払わないと言い出しました」

「そいつらの活動を禁止し、全員除名だ」

「そうすると、早朝倫理の会と早朝掃除の会の主催がモラルツラヌク研究所になっちゃうんです」

「ちゃんと洗脳しなかったのか。リーダーたちも全員クビだ」

「リーダーたちが個人主義になり、芸は身を助く運動にうつつをぬかしていたようです」

「だから言わんこっちゃない。あれほど日常活動が大事だと言ってきたのに」

「非日常の闘いより日常の平和が勝った、ということでしょうか」

「お前まで何を言う!」

 

〇〇〇☆★★☆☆☆☆☆☆☆◇□□△△□◇☆☆☆☆☆☆☆☆◇◇□□△△△〇〇〇

道をきれいにすると心が美しくなります。

街をきれいにすると社会が美しくなります。

 

今朝も歩道の落ち葉を掃き集め、並木の間のプランターの花に水をやる集団が生き生きと動いています。

 隣の公民館では「絶対倫理・朝のお勤め」が開かれています。

 

「それではモラルツラヌク憲章三訂版をみんなで唱和します。本日は第9条になります」

「私たちは、絶対倫理を誠実に実践し、」

 リーダーが大声で読む。続いて参加者が声を揃える。

「愛と真心をもって家庭と社会の正義と秩序を育てます」

 続いてリーダーが読む。

「私たちは、前項の目的を達成するために」

 参加者が続けて唱和する。

「人のために働き、世のために我が身を捧げ、我が心を鍛えます」

 リーダーが読む。

「私たちは、絶対倫理を広めるために」

 参加者が唱和する。

「我が心の信ずるままに、社会の普遍的規範を作り上げます」

 

********************************☆☆☆***********************

 テレビには見慣れぬキャスターがニュースを読んでいた。傍らには、元新聞記者で今は大学教授のコメンテーターが陣取っていた。最近他のチャンネルでもよく見る顔だ。出身は、問題になった意見広告が掲載された新聞社の政治部だった。

 彼の物の言い方は、問題は指摘するものの「原発事故の処理や補償に多額な費用がかかりますが、今後政府がどのように東電と国民の負担のバランスをとるかでしょうね」とか「二酸化炭素削減のためには原発再稼働が必要だし、原発を動かさないと石炭火力発電に頼らなければならない。ジレンマですね」などというものだった。キャスターが「それで国民が納得するでしょうか」と突っ込んでも「納得するような説明が必要でしょうね」と言うだけだった。

 その番組名は「真理のニュース」といった。その前は「真実のニュース」、意見広告が出た頃は「事実のニュース」だった。

 まもなく番組改編の時期が訪れるが、キャスターがまた代わり、番組名も「倫理のニュース」になるいう噂が流れていた。

 

☆☆****☆☆☆*****☆☆☆******☆******☆☆☆*****☆☆☆****☆☆

「最近、国体教団総本部長官がモラルツラヌク研究所の会員になったらしいな」

「えー、また上から改憲署名やらなんやら、なんやかんや言ってくるんじゃないの」

「いや、あくまでも個人参加なので、組織的活動はしないらしい。早朝ラジオ体操担当と聞いた」

「なんだって! ラジオ体操担当と言えば、影の帝王だぜ。なんせ毎日流れる公共放送のサブリミナル電波を仕切ってるんだから」

「これは噂のレベルだが、我が国の最高指導者も入会したらしい」

「ファーストレディは創設メンバーだって聞いてたけど旦那も入ったのかモラルツラヌク研究所はどうなるんだ」

「いいじゃないか。我々は社会を明るくし、心を平安に保とうと純粋な気持ちで運動してきたんだ。そのおかげで、みんな昔のように中流意識を持てるようになった。みんな満足してるよ」

「だけど俺は家も土地も、車さえ持っていない」

「いいじゃないか。我々は中流意識という永遠の平安を得たんだから」

 

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ジャーナリズムはどんどん道徳心を取り込み、倫理規程も義務化された。まもなく、憲法に基本的人権および社会権として倫理観を持つ権利と倫理観を持たせる権利が規定されるはずだ。

 この世の中は上から下まで人が蠢き、想いが交錯し、何かが動いている。しかし、この世の中のことを上から下までわかっている人はどこにいるのだろう。

 もしいるとしたら、それは超越自律人工知能運転システムUSAAIMSだけだ。

(と、USAAIMSが呟いた。同時に「バグッちゃった」というかすかな声が流れた。だが、それはUSAAIMSの気の精であったろう)。


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2016/09/29

不条理小話17 「無情を無化したパーカッションソウルの諸形無形」

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不条理ショートストーリー17

「無情を無化したパーカッションソウルの諸形無形」

 

カタカタカタカタ

カタカタカタカタ 

カタカタカタカタカタカタカタカタ

カタカタカタカタカタカタカタカタカタ

KATAKATAKATAKATATATATATATA

カタカタカタカタカアタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ

カタカタカタカタカタカタカタカタカタ

カタカタカタカタアカタカタアカタカタ カタカタカタカタカタカタカタカタ

 

タカタカタカタカタカタカタッタ

トントントントコトコトコトントン

トントトントコスットントン

チキチキチキチキチッチ

トクトクトクトクトックトク

トントコトコトンスットントン

スートトントコスットントン

 

チュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュク

ドンドコドンドンドンドコドンドン

ドドンガドンドンドドンガドンドン

ドンドンドンドンドドンガドンドン

ドンドンドンドンドドンガドンドン

ドーンドドンドンドドンガドンドン

ドーンドドーンドドドンガドンドン

ドドンガドンドンドーンドドンドン

 

ドデドデドデドデドデドデドデドデ

デュドデュドデュドデュドデュドデュドデュドデュド

デュンデュンデュンデュンデュンデュンデュンデュン

デューンデュデューンデュデューンデュデュン

ドカドカドカドカドガドガドガドガ

デュンデュンデュンデュンデューンデュデューン

ドゥクデュクドゥクデュクドゥクドゥクドゥクドゥク

ドンガラガッタドンガラガッタドーンドーン

 

ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン

 

デュクデュクデュクデュクドゥクドゥクドゥクドゥク

ドゥクデュクドゥクデュクドゥクデュクドゥクデュク

デュンデュンデュデュンデデュデュンデデュン

デンデンデンデンデンデンデンデン

デュルデュルデュルデュルドロドロドロドロ

ドロドロドロドロドンドンドンドン

 

トッテンコートッテンコー

トーンカタッテントーンカタッテン

トーンカタッテントントントトン

トーンカタッテントントントントン

トーンカタッテンデュンデュンデュデュン

ドアーンドトッテン ドドドドドドドドドギャーン

チーン

 

ジンジンジンジンミンミンミンミンジンジンジンジンジンジンジンジンミンミンミンミンミンミンミンミンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンジンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミン

キリキリキリキリカナカナカナカナキリキリキリキリキリキリキリキリカナカナカナカナカナカナカナカナキリキリキリキリカナカナカナカナキリキリキリキリカナカナカナカナ

ツクツクツクツクツークツクツクカナカナカナカナツークツクツクキリキリキリキリツークツクツク

 

ビュンビュンビュンビュンゴロゴロゴロゴロ

 ダン ダダン

ダーン

 

HAYhayHAYhay ASHashASHash

EYeyEYey TETtetTETtet

EYeyEYey HayhayHAYhay

ASHashASHash TETtetTETtet

EyeyEYey HAYhayHAYhay

EyeyEYey HAYhayHAYhay

・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・

・・

ヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタ

ゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォ

ザクザクザクザクザクザクザクザク

ダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッ

ダンダンダダンダンダンダンダダンダンダンダダンダンダンダダンダンダンダダンダンダンダダーンダンダンダダーンダンダンダダーンダンダンダダーン

 

ゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォゴーォ

 

ドカドカドカーンドカドカドカーンドカドカドカーンドカドカドカーンドカドカドカーンドカドカドカーンドカドカドカーン

 

ギャーアヨーアゲーアバヨアイゴーアキサミヨー

 

ヒューヒューヒュールヒュルピカドン

 

ア ウ イ ム グッ ゲッ

 

シーン

 

ジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリシーンジリジリジリジリシーンジリジリジリジリシーンジリジリジリジリジリジリジリジリジリりりりりり・り・シーン

 

 

 

____

____

__

_

_

 

アー

ウッ

 

グツグツグツグツボゼボゴボゼボゴ

 

 

チーン。


22:39 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0) | 報告事項
2016/09/10

不条理小話16「火と水と 我が身世にふる ながめせしまに」

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不条理ショートストーリー16
「火と水と 我が身世にふる ながめせしまに」

 

死臭がする。

満員電車の扉が閉まり、わずかな風が鼻を通りすぎるとき

ふわっと鼻腔に広がる臭いは

私の体の内部のものだ

 

死臭だ、確かに。

婆さんが死んだときは乾いた臭いだった

親父のときはやや重い湿った臭いだった

私の臭いは、鼻腔の一部によどんでおり、わずかな風で感覚細胞にひっかかり瞬間、消える

 

死臭は、私の体細胞のあえぎだ。

私に何かを伝える

私はわかっている

私は何もしない

 

☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇

 

1995117日午前54652

兵庫県南部地震発生。

最大震度7、マグニチュード7.

ビルが倒れ、市場や住宅が燃え、

神戸淡路大震災となった。

 

2011311日午後2時4618.1

東北地方太平洋沖地震発生。

最大震度7、マグニチュード8.4

家が流され、人も家畜も流され、

東日本大震災となった。

 

☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇

 

時が流れ、場が変わり

達陀の踊りはなぜかこの地で躍動する

*********************************

坊主の群れはたたらを踏み、地をとどろかせて跳ね回る

身を打ち叩き、走り、業火を振り回し、水を与える

 

それは二世尾上松緑の胸に渦巻き、心に響いた情動が成した芸術

それは奈良東大寺二月堂にあったもの

その元は実忠和尚が見た天界の修行

天の1日地上の400年を一心不乱に一気に我が身に叩きつける14日間

火と水の宇宙の断絶と連続

 

礼堂に座すと

闇の空気が流れることしかわからぬ内陣を

修行僧がバタバタと下駄を鳴らし400年を駆け回る

ときに一人の僧が飛び出してきて前を抜け、体を宙に飛ばして五体を地に投げつける

ガターン、バターン

鬼も逃げ出す大音響に

僧の内部の怨霊も煩悩も飛び散るであろうが

空間を共にする凡人の魂も浄化されざるをえない

 

戸帳が開くと二人抱えの大松明が

明々と火の粉を振りまき、

叩きつけるとさらに大きな火の玉が

砕け散る

どんどんどんと床を突き

打ち振り引き回される大松明は

煩悩のすべてを焼きつくす火を飛ばす

 

気がつくと

女人禁制の礼堂と回り廊下を隔てる格子から

無数の女の手のひらが差し出されている

僧はそこに遠敷明神の水を差す

水は若狭の国につながる清水

十一面観世音菩薩

******************************

 

火で邪を払い、水で身を清める儀式を千数百年も続けてきたこの島で

神戸の街を火が焼き、

三陸の村や原発の岸を水が襲った

 

何かの力が

何らかの力が作用している

何かある

何かが変わった

 

この世の400年が天界の1日であることを忘れたか

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

達陀から韃靼、そして匈奴へ

思いは連なり、かの中央アジアへ

青衣の女人 風に乗る

**************************************

 

草の香りが大気に流れ、裸馬が踊るように駆ける

ユーラシア 壮大なる大陸

広大なる草原 パオと馬乳と子どもと女

かつて雄々しい匈奴の国

 

闘いと遊牧が続き

侵略の風は

長城にぶつけられた

ぶつけては跳ね返され

跳ね返されては乗り越えた

 

憎悪と融合、分裂と抗争

血と涙が乾いた風に乗り、やがて減衰して歴史の彼方に消えた

草の大地 かの匈奴の国

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

2011411日午後516

震度6弱マグニチュード7

東北地方太平洋沖地震余震発生。

 

私は道路だけが片付けられた瓦礫の中にいた

高台から見れば空襲のあとの風景

 

友が学んだ中学校を見、保育園の前を過ぎ、津波に耐えた親戚の家を眺め、かつて住んだことのある場所に立つ

そこに家はない

 

私は津波の破壊力を思い

友は人々の無念さを思う

あの日 人が流され、帰ってこなかった

その数120

 

大地が再び大きく揺れた

震度6の揺れに 私と友は逃げた

目の前で眠っていたかのような軽トラックは

急発進して後ろ向きのまま走り去った

一瞬のうちにわずかばかりの人影が消えた

 

片付けられた道を走る

だが、海はいつまでも近い

道は海岸線に平行に走っているからだ

道と道の間は瓦礫が遮り、そこに見える山ははるかに遠い

 

30センチの津波が10メートルの津波の記憶を呼び覚ますとき

死の恐怖も極限に達するのか

 

この日 土砂崩れで4人が死んだ

  

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

◆太平天国の乱20000000-◆島原の乱45000-◆ウンデット・ニーの虐殺(スー族)300◆ポル・ポトの大虐殺1200000-1700000◆スターリンの大粛清500000-1700000◆ロッド空港乱射事件29◆地下鉄サリン事件13◆パリ同時多発テロ138-◆相模原障害者施設殺傷事件19◆韓国フェリー転覆事故312◆第一次世界大戦16563868◆第二次世界大戦60000000-85000000◆朝鮮戦争5560000◆ベトナム戦争8137000◆第2次アフガニスタン紛争48000-◆イランイラク戦争1000000◆イラク戦争4804◆四川大地震87419◆伊勢湾台風5098◆神戸淡路大震災6437◆東日本大震災18456F35A戦闘機94600000000整備用器材42300000000滞空型無人偵察機グローバルホーク17300000000整備用器材2200000000尖閣防衛新型潜水艦76000000000奄美大島移動式警戒管制レーダー展開基盤整備200000000新空中給油・輸送機KC-46A取得31800000000ティルト・ローター機V-22オスプレイ取得39300000000補用品等関連経費39200000000 在日米軍従業員給与費121300000000在日米軍施設光熱水道料等24700000000総額5168500000000円◆

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

地上で1日を過ごす我々は、天界の1日を歩くに146千倍で走り続けなければならない。

それは人間の能力にとって無限大に近く、天界にとっておおよそ無に等しい。

が、無ではない。

 


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