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◆「ふぇみん」2021年12月5日号の特集「衆院選2021 そして私たちはどうする?」に寄稿しました。
【安全保障】
軍事予算「GDP比2%」へ 際限ない軍拡競争は安全保障上マイナス
杉原浩司(武器取引反対ネットワーク[NAJAT]代表)
岸田政権は2021年度補正予算案に、22年度概算要求に入れた哨戒機等の前倒し調達など過去最大の7738億円の軍事費を計上する。災害など本予算編成後の事態への対応という補正の趣旨の逸脱だ。概算要求5兆4797億円と合わせると6兆円の大台を突破し、GDP(国内総生産)比1%を超える。自民党の総選挙公約「GDP比2%」を見すえた動きだ。
さらに、岸田政権は22年末までに国家安全保障戦略を改定し、敵基地攻撃能力保有に進もうとしている。能力の先取りは始まっているが、お墨付きを与えることは日米ガイドライン改定や日米共同の先制攻撃計画の策定につながる。大きな焦点は、琉球弧(南西諸島)への地上配備型中距離ミサイルの配備だ。米軍が開発中のミサイルか、自衛隊が開発中のミサイルか、あるいは、米国元国務副長官アーミテージが提案する日米共同開発のミサイルか。いずれにしろ、住民に新たな沖縄戦のリスクを押し付けるもので認められない。
どう対抗すべきか。中満泉・国連事務次長の「軍縮は安全保障のためのツール。際限ない軍拡競争は安全保障上マイナスに。交渉でまず危機管理システムを作り、軍備管理システムを作り、軍縮へと進むべき」との言葉がヒントになる。
※特集への寄稿(発言まとめも)は、他に志田陽子さん、松元千枝さん、本田由紀さん、青木正美さん、満田夏花さん、徳森りまさん、中野晃一さん、申琪榮さん、大椿ゆうこさん。読み応えがあります。