*****************8月22日
朝日朝刊。凄い記事。
「この戦争はだね、このまま行ったら必ず負ける。止めるならまず今のうちだよ。どうだね。朝日新聞は(紙面)全面を埋めて戦争反対をやらんかね。(中略)全面をつぶして戦争反対をやってみろ、歴史上の村山(長挙〈ながたか〉=当時の朝日社長)になるよ。そうおれが言ったと伝えてくれよ」
「そんなことをしたら、朝日新聞は潰されてしまいますよ」と語る所に、石原は、こう答えたという。
「なあに、そら潰されるさ、潰されたって、戦争が終わってみろ。いずれ敗(ま)け戦さ。朝日新聞は復活するよ。従業員は帰って来る。堂々とした朝日新聞になる。どうだ。そう伝えて欲しいな」
社に戻った所は、朝日の重役に伝言したが、「口をつぐんだきり何も言わなかった」という。
満州事変の首謀者として戦端を開いた石原が、日本の完敗を見定め、今度は朝日に戦争反対を訴えるよう促した、というのは皮肉としか言いようがない。
もはや朝日も正論を説く機会を逸し、後戻りできなかった、象徴的なエピソードだろう。