「戦争ができる国」日本の戦争準備法
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7月8日「元海上自衛隊員が選挙演説中の安倍元総理を射殺」との衝撃ニュースが駆け巡った。「坂を転げ落ちるように戦争シナリオができあがろうとしている」と岡田充氏(共同通信社客員論説委員)は「米中対立と沖縄」(本紙2月5日)で警告していた。同情票で選挙が自民党有利に働けば戦争へと坂を転げ落ちるスピードは増すと懸念したが、メディアは安倍氏称賛の声を流し続け、結果はやはり自民党圧勝。沖縄を戦場に想定した九州での日米軍事演習も終了し「あとは政治のゴーサインを待つのみ」と思われるが、ゴーサインへと向かうスピードが増す。安倍神格化が進む状況では、坂を転げ落ちる日本を止める歯止めも利かない。日本を「戦争ができる国」にした張本人は安倍晋三氏であり、政権終了後も安倍政治が継続中であるとの認識は、現状の戦争迫る危機の把握に必須なのである。
第二次安倍政権下(2012年~2020年)で日本は「戦争のできる国」に変質した。森友・加計学園等、権力私物化や権力への忖度がはびこり、黒塗り公文書で国民は知る権利を奪われ、政権批判ができないようメディア・コントロールが進みジャーナリズムも衰退、報道の自由度は途上国並となった。政権が作ったネトウヨは基地沖縄や原発福島の反対者を攻撃、中国ヘイトスピーチがネット上に氾濫、平和運動を萎縮させ中国敵視の世相を作った。司法では不正や曲解、政権癒着が横行、国会討議を経ない法制定、勝手な解釈、法の下克上などで法治国家は崩壊した。教育基本法改正、特定秘密保護法、安全保障関連法、「共謀罪」法、憲法改正手続き法、ドローン規制法、国民の権利を奪い監視社会を強める戦時体制確立の悪法成立は今に続く。「集団的自衛権」により「米国の代理戦争が出来る国」になった。残るは、緊急事態条項や自衛隊明記など戦争合法化の改憲だ。「安倍は死すとも安倍政治は死なず」戦後の米国隷属路線は自公政権とそれを支持する国民によって強化され続けている。
その総仕上げとして、「国家安全保障上重要な土地等に関わる取引等に関する法律」が9月から施行される。野党の反対を押し切り与党や維新など改憲派が強行裁決した「土地規制法」(通称)は、何故、戦争準備法なのか?憲法の保障する人権や財産権を停止し、政府が勝手に法律同様の政令を出す自民党改憲の緊急事態条項の先取りだからだ。具体的内容記載も無く、区域や現地調査など総理大臣が決定、特に米軍や自衛隊の基地を抱える沖縄が対象で、個人の土地を国が管理し住民間監視を強め「基地機能阻害行為」として、基地や戦争反対の県民を取り締まる。戦争反対の市民に扮した米兵に銃を突きつける米兵、那覇軍港で見た訓練が現実となる。沖縄を戦場とするための法だ。復帰50年の今、日本は本法によって、基地無き平和を願って復帰した沖縄の私達の権利や抵抗を奪い、米国代理戦争の戦場にしようとする。命を守るため私達に何ができるのか?
与那覇恵子(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 発起人)