土地規制法の危険性 沖縄スパイ戦 再来許すな
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昨年6月に国会で可決・成立した土地規制法の全面施行が9月に迫っている。この法律は基地や原発などの国の安全保障に関わる「重要な施設」周辺や国境離島の区域を「注視区域」に指定し、土地・建物の所有者や利用者の行動を調査、監視、規制するものである。また特に重要な施設や離島周辺は「特別注視区域」に指定され、土地・建物の売買・賃借等の取引は事前報告が義務付けられる。この措置は沖縄の台湾有事を想定した軍事要塞化と密接にかかわっている。
9月までに法文では明記されていなかった重要施設が何なのか、処罰対象となる重要施設や国境離島の「機能阻害行為」とは何なのか、調査対象や内容は何なのかが決められ、全面施行後に順次区域指定と住民調査が始められる。
この法律による調査と規制のターゲットは第一に沖縄である。指定区域内の住民調査では、土地等の所有者・賃借権者を調査するだけではなく、近隣の住民をはじめ「その他関係者」には情報提供の義務が課される。いわば密告の義務化である。そして自衛隊や公安警察が調査の実働部隊にもなると考えられる。これは軍の命令によって住民同士が監視し合い虐殺まで引き起こした「沖縄スパイ戦」の再来と言っても過言ではない。
今なぜこの法律が作らなければならなかったのか。それは、政府が戦争に備えるためにまず初めにすることは、市民の目と耳と口を塞ぐこと、そして最後には身体を縛ることだからである。すなわち、沖縄で進んでいる島々のミサイル基地化、頻繁かつ大規模に繰り広げられる軍事演習、「台湾有事は日本の有事」といった政治家の発言に見られる世論誘導と連動した戦争準備の立法なのである。軍事要塞化に対する批判は萎縮させなければならないし、ひとたび戦争が始まれば住民の反対を完璧なまでに封じなければならならない。そのために日頃の調査・監視活動が必要となるのである。
私が関わっている土地規制法廃止アクション事務局は、この法律の基本方針をパブリックコメントにかけるためのオンライン署名活動を行っている。基本方針では処罰対象となる「機能阻害行為」や調査対象・調査内容がほぼ決まってしまうため、その案に市民の意見を反映させることが不可欠なのである。法の全面施行前に今一度この法律の危険性を広く知ってもらわなければならない。沖縄では7月23日午後2時から那覇市の八汐荘にて土地規制法に関する「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」の講演会が開催される。
講演会http://nomore-okinawasen.org/2039/
谷山博史(団体職員)