2022/12/13 10:01読売新聞
政府は、沖縄県・先島諸島の空港を、自衛隊のF35戦闘機が離着陸できるよう延伸・改修する方向で調整に入った。同諸島で日本最西端の与那国島に、自衛隊護衛艦が接岸できる港湾を整備する計画も進める。台湾有事を見据え、自衛隊の機動的な展開や住民避難を支える体制を強化する。
与那国空港に下りたC2輸送機(先月17日、沖縄県与那国町で)=田中勝美撮影
複数の政府関係者が明らかにした。政府は16日にも閣議決定する国家安全保障戦略に、防衛に活用できる公共インフラ(社会基盤)の整備促進を盛り込む。中国による台湾の武力統一の可能性が排除できない情勢を踏まえ、台湾と近い同諸島での整備を最優先すべきだと判断した。
政府の計画では、先島諸島のうち、与那国(与那国町)、新石垣(石垣市)、宮古(宮古島市)の各空港で滑走路の延伸や補強を実施し、F35戦闘機が離着陸できるようにする。いずれの空港の滑走路も2000メートルで戦闘機の利用には短い。垂直着陸が可能なF35Bの運用には、滑走路の耐熱強度を高める必要もある。
港湾関連では、自衛隊の護衛艦や海上保安庁の大型巡視船が接岸できない与那国島に新たな施設を設ける予定だ。250メートル程度の岸壁の整備や港の水深確保を検討している。石垣港(石垣市)や平良港(宮古島市)を、自衛隊や海保の補給施設として活用する案もある。
先島諸島以外では、航空自衛隊の南西航空方面隊が拠点とする那覇空港(那覇市)の機能強化も目指す。滑走路に向かう誘導路を増設することが柱だ。同空港は民間と共用しており、自衛隊が滑走路を利用しやすい環境を整える。(以下略)