■イギリス海軍の空母クイーン・エリザベス、南シナ海に入る
自衛隊との共同訓練の可能性も
アメリカ海軍の報道によると、空母クイーン・エリザベス(基準排水量45,000トン、満載排水量-67,699トン-艦載機をすべて搭載した状態の重さ、全長284m)は27日頃、アメリカ海軍のイージス駆逐艦ザ・サリバンズ(DDG68- 垂直発射装置VLSにトマホーク巡航ミサイル-射程1,350km、SM-2射程167km等90発を搭載可能、その他に艦対艦ミサイル-射程120km、魚雷等搭載)、オランダ海軍の艦艇とともに南シナ海に入った。これとは別にイージス駆逐艦ピンクニィ(DDG91)も南シナ海に展開している
艦載機の総数は明らかではない。最大搭載機数はF-35B戦闘機3個飛行中隊(12機×3機=36機)とヘリ等12機であるが、イギリスは現在のところ、そこまでのF-35Bを保有していないようである。今回は、アメリカ海兵隊の戦闘攻撃飛行中隊(VMFA211)を搭載していることだけがハッキリしている。
中国軍は同海域で29日まで実弾射撃演習をしたと「読売新聞」は報道している。
7月27日付で海上幕僚監部は、従来よりも訓練期間と参加部隊を拡大した「インド太平洋方面派遣訓練」を8月20日から11月25日まで行うと発表した。参加艦艇は、ヘリ空母「かが」(DDH184、呉)護衛艦「むらさめ」(DD101、横須賀)、「しらぬい」(DD120、大湊)と潜水艦1隻、それに今回はじめて参加するP-1哨戒機1機(鹿屋、航続距離8,000kmなので、鹿児島県鹿屋基地から、南シナ海の中国が岩礁を埋め立てて滑走路を建設した南沙諸島に面するフィリピンパラワン島への往復飛行も可能)である。
現段階では確たることは言えないが、空母クイーン・エリザベスとヘリ空母「いずも」を中核とする海自艦隊が、南シナ海、あるいは琉球弧から屋久島、馬毛島、種子島、大隅海峡に至る海域で、日英あるいは日英米共同訓練を展開する可能性大である。
昨年とは比べものにならないほど情勢は緊迫している。フランス海軍のピエール・バンディエ参謀総長は、「インド太平洋に最近展開したフランス海軍の軍艦が常に中国船に追尾され、時には衝突回避のための操縦を迫られた」と語っている(「SankeiBiz」6月11日)。具体的な海域と艦名は明らかにしていないが、おそらくは南シナ海の話であろう。
空母エリザベスの今後の動向は要注意である。
■令和3年7月27日 海上幕僚監部 (お知らせ)
令和3年度インド太平洋方面派遣訓練について
海上自衛隊は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に資するべく、次のとおり令和3年度インド太平洋方面派遣訓練を実施します。
1 目 的 インド太平洋地域の各国や同地域に艦艇を派遣している欧州主要国の海軍等との共同訓練等を実施し、海上自衛隊の戦術技量の向上及び各国海軍等との連携強化を図 る。また、本訓練を通じ、地域の平和と安定に寄与するとともに、各国との相互理解 の増進及び信頼関係の強化を図る。
2 期 間 令和3年8月20日(金)~11月25日(木)
3 派遣部隊 (1)護衛艦部隊 ア 指揮官 第3護衛隊群司令 海将補 池内 出(いけうち いずる) イ 派遣部隊 護衛艦「かが」、「むらさめ」、「しらぬい」及び搭載航空機4機 ウ 派遣人員 約770名
(2)潜水艦部隊 ア 派遣部隊 潜水艦1隻 イ 派遣人員 約80名
(3)航空部隊 ア 指揮官 第11飛行隊 2等海佐 津田 怜男(つだ れお) イ 派遣部隊 P-1 1機 ウ 派遣人員 約40名
4 寄港予定国(一部調整中) インド、インドネシア共和国、オーストラリア連邦、シンガポール共和国、スリランカ民主社会主義共和国、パラオ共和国、ベトナム社会主義共和国、フィリピン共和国、仏領ニューカレドニア
5 主要訓練項目 各種戦術訓練等
6 その他 新型コロナウイルス感染症への必要な対策を行います
●中国漁船の違法操業があるというパラオ、フランス海軍の基地があるというニューカレドニアにも行くといいます、オーストラリアにも、インドにも。訓練期間はこれまでの約70日から大幅増で98日。
この感染拡大の中、止めた方がいいのにと思います。
P-1哨戒機も今回から参加です。
写真1,2 空母クイーン・エリザベスから発艦するF-35B戦闘機
アメリカ海軍HPより
写真3 横須賀基地逸見桟橋に停泊するヘリ空母「かが」7月20日撮影
<木元茂夫>
投稿したあと気が付いたのですが、岸信夫防衛相は7月20日の記者会見で「英空母打撃群の日本寄港及び共同訓練」と言い切っています。寄港地は横須賀のようですが、共同訓練をどこでやるかが問題ですね。できれば、中止させたいですが。