2021/12/27 05:00読売新聞
日豪両政府は、自衛隊と豪州軍が互いの国に滞在した際の法的地位を定める「円滑化協定」(RAA)を来年1月にも締結する方向で最終調整に入った。海洋進出を強める中国を念頭に、日豪の部隊が相互に訪問しやすくし、安全保障協力を強化する狙いがある。
複数の政府関係者が明らかにした。米軍の長期滞在を前提とした日米地位協定とは異なり、共同訓練などを念頭に置いたRAA締結は初めて。来年1月に岸田首相のオーストラリア訪問が実現すれば、モリソン首相と署名を交わす。新型コロナウイルスの感染拡大で訪豪を見送れば、現地大使による署名で調整する。
RAAは「訪問部隊地位協定」の一種で、当事国の双方で適用される。共同訓練や災害救援などで相手国に一時滞在する際、入国審査や携行品の関税を免除し、武器や弾薬の持ち込み手続きを簡素化することが柱だ。
RAA交渉は2014年7月に始まったが、豪州が日本の死刑制度に懸念を示し、難航してきた。東、南シナ海への進出を強める中国の脅威に共同対処するため、両政府は協議を加速。豪軍の隊員らが日本で犯罪を犯した場合の刑事手続きは、訓練などの公務中は日本の裁判権を免除し、公務外の場合に日本の法律を適用することで整理した。 (以下略