2021/12/11 20:36産経新聞 杉本 康士
台湾有事が発生し、戦火が沖縄県の離島に及んだとき、いかに中国に対抗するか。陸上自衛隊と米海兵隊が新たな「戦い方」を模索している。4日からは日米両部隊が島嶼(とうしょ)部に押し寄せる敵の艦艇を撃退する訓練を実施中だ。カギは陸自の南西諸島防衛強化と海兵隊の作戦構想「遠征前方基地作戦(EABO)」の連携となる。日米の連携を強化するためには現地での訓練も欠かせないが、政治的な壁が妨げとなっているのが実情だ。
「共に戦う」
(中略)
陸自が海兵隊のEABOとの連携を目的に訓練を行うのは、今回が初めて。EABOは、ミサイルやセンサーを装備した小規模部隊が島嶼部などに分散展開する作戦だ。2019年7月に就任した海兵隊のバーガー総司令官が推進してきた構想で、艦艇や戦闘機、中距離ミサイルの物量で優勢を築く中国軍の射程圏内に踏みとどまり、米軍の空母や爆撃機が来援できる条件を作り出すことを狙う。
中国は台湾有事などで米軍の来援を中距離ミサイルなどで防ぐ接近阻止・領域拒否(A2/AD)能力を構築している。米軍では当初、海空軍が中国ミサイルの射程圏外から攻撃する「統合エアシーバトル」で対抗する構想を描いてきた。しかし、中国軍が戦闘初期に南西諸島を占拠すれば、米海空軍の来援はますます難しくなる。そこで海兵隊が着手したのが、EABO構想だった。(以下略)
