12/2(金) 5:04読売新聞オンライン
自衛目的で敵のミサイル発射基地などを攻撃する「反撃能力」についての政府見解が1日、判明した。武力攻撃を防ぐための「必要最小限度の自衛措置」と位置づけた。岸田首相は安全保障政策を転換し、反撃能力を保有することについて、政府見解に基づき、国民に理解を求める考えだ。
政府見解は、日本の安全保障環境について、中国や北朝鮮などを念頭に、「ミサイル戦力を質・量ともに強化し、関連技術と運用能力を向上させている」と分析。「ミサイル防衛網だけで完全に対応することは困難だ」と指摘した。
そのうえで、反撃能力の行使は憲法と国際法の範囲内で、専守防衛を堅持し、「先制攻撃は許されないとの考えに一切変更はない」と強調した。
反撃能力は「万やむを得ない必要最小限度の自衛措置」で、その対象は、攻撃を軍事目標に限定している国際法を順守しつつ、「個別具体的な状況に照らして判断する」とした。
自民党は4月の提言で対象として、敵の司令部などの「指揮統制機能」も挙げた。政府見解では、対象の例示は見送り、敵の攻撃着手をどう判断するかについても言及しなかった。反撃能力の行使について、手の内をさらさずに、政府による判断の柔軟性を確保し、抑止力の向上につなげる狙いがある。(以下略)