<社説>辺野古9度目の訴訟 国の強権許さない判決を
2020年7月25日 琉球新報
この国の地方自治の在り方が再び司法で問われる。
米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けて沖縄防衛局が申請しているサンゴ類の移植について県は22日、国を相手に福岡高裁那覇支部に訴えを起こした。6月に総務省の第三者機関・国地方係争処理委員会が県の審査申し出を退けたことを不服とした。
県は地方自治法に基づき「農林水産省がサンゴ移植を許可するよう県に指示したことは違法だ」と主張し、指示の取り消しを求めている。これに対し農水省は「知事が許可しないのは違法なので、それを正す指示は適法だ」と主張する構えだ。農水省の指示が妥当かどうかが争点となる。
裁判所は建設ありきで強権を行使している国を是認する判決を下すべきではない。是認すれば、この国の地方自治に大きな禍根を残す。
辺野古新基地を巡る裁判は9度目となる。地方自治体が司法の場でここまで国と争うのは極めて異常な事態だ。県が訴訟を繰り返す背景には、辺野古新基地建設に反対する県民の民意がある。
沖縄では辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票をはじめ、県知事選や国政選挙などで何度も建設反対の民意を示してきた。そもそも国が県民の民意を尊重すれば、訴訟は必要ない。
国と県の訴訟合戦は、沖縄では民主主義が機能していないことの表れだ。(以下略)