「ドンパチない」町は利点強調 与那国島の住民説明会
2019年5月27日東京新聞朝刊
2016年3月に陸上自衛隊沿岸監視隊が配備された与那国島(沖縄県与那国町)では、自衛隊誘致の賛否を巡り住民同士の激しい対立が続いていた。防衛省が弾薬庫を「貯蔵庫」と説明していたことが判明し、住民説明会で誘致のメリットを強調した当時の町担当者は「知っていれば、住民への説明も違っていた」と悔やむ。 (望月衣塑子)
「自衛隊が来ることで何の脅威があるのか。沿岸監視部隊なので、ドンパチするような訓練は頭にない。あくまで消費する部隊だ」。一二年十二月、外間守吉(ほかましゅきち)町長は町議会でこう力説し、自衛隊員や家族が住むことによる経済効果へ期待を示した。
一四年二月に町が開いた住民説明会でも同様に説明された。
(中略)
この説明会では、住民から、米軍の基地使用を危ぶむ質問も出た。外間町長は「米軍が共同使用したい場合は、日米地位協定で拒否できない。心情として、米軍に使用させないことを貫きたい」と苦しい答弁に追われた。
しかし、既に〇七年六月には、米海軍の掃海艦二隻が町の祖納(そない)港に寄港し、港を調査。内部告発サイト「ウィキリークス」によると、当時、米国の駐沖縄総領事だったケビン・メア氏は、外交公電で「台湾有事の際、与那国島は機雷除去の作戦拠点となりうる」と米本国に報告していた。
(以下略)