海兵隊の新方針、沖縄にトマホーク巡航ミサイル配備へ
JSF | 軍事ブロガー
アメリカ国防総省より、2019年に行われた地上発射型トマホーク巡航ミサイルの試験
3月23日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙でアメリカ海兵隊のデイビッド・H・バーガー総司令官がインタビューに語った内容は、海兵隊の編成を大改革するというものでした。今後10年間で戦車部隊を廃止し、榴弾砲部隊は大幅減、戦闘機や輸送機も若干削り、人員は1万2千名を削減。代わりにロケット・ミサイルを担当するHIMARS部隊を3倍に増やし、偵察用の無人機部隊も増やすというものです。HIMARS部隊はこれまで多連装ロケットと短距離弾道ミサイルで対地攻撃を行っていましたが、新たにノルウェー製NSM対艦ミサイルと対艦攻撃能力を付与された対地対艦兼用の新型トマホーク巡航ミサイルを搭載する車両が追加されて、海兵隊は新たに地上からの対艦攻撃能力を獲得することになります。
海兵隊の地対艦ミサイル部隊化
この海兵隊の大改革は「地対艦ミサイルを装備して中国海軍と戦う」というのが骨子です。東シナ海の尖閣諸島や南シナ海の南沙諸島・西沙諸島の周辺で海兵隊が中国艦隊を牽制する役目です。従来の海兵隊は海上や空中から歩兵部隊が敵地に殴り込むのが役割でしたが、これをある程度は維持したまま、今後は主任務が長距離対艦ミサイルを用いて敵艦を遠くから狙い撃つ任務へと大きな変化を遂げます。戦車や榴弾砲が必要な戦いは陸軍に任せて、海兵隊は中国との海洋を巡る戦いに特化することにしたのです。常に陸軍への吸収論が燻る海兵隊にとって、陸軍との差別化は海兵隊が自身の存在理由を示す為の長年のテーマで、対艦攻撃能力を取り入れることになりました。アメリカは他国向けに地対艦ミサイルを製造販売した場合はありますが、自身への本格的な装備化はアメリカ全軍の歴史を通して初めてとなります。(※ただし試験運用は以前にも行われています)
沖縄にトマホーク巡航ミサイルを配備
海兵隊の新方針は中国海軍との戦いである以上、沖縄の第三海兵遠征軍に新装備が集中することになります。第三海兵遠征軍を再編成し、その中の3つの連隊が「海兵沿岸連隊」へと新編されます。この新しい沿岸連隊は地対艦ミサイルを主装備とするので、NSM地対艦ミサイルとトマホーク巡航ミサイルが沖縄県に新たに配備されることになります。(以下略)