2022年08月04日 八重山毎日新聞
リストに品目のみ記載 「安全性分析できない」
平得大俣での陸上自衛隊配備をめぐり、石垣市が公表している駐屯地内車両整備場で使用予定の洗浄剤や油脂などの品目について、「品目のみの記載では安全性を検討できない」として石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会(上原秀政氏ら共同代表5人)が3日、品名や規格などの情報提供を防衛局に求めるよう石垣市に要請した。宮古島市への配備の際に提供された品目に関する情報量に差があることも判明した。
品目について市は6月8日付で沖縄防衛局から情報提供を受け、同20日付でホームページ上で公開した。全63品目で洗浄剤20品目、油脂が43品目。リストは品目のみの記載となっている。連絡会のメンバーが専門家に調査を依頼したところ、「品目名だけでは分析できない」と回答を受けたという。
一方、連絡会が入手した資料によると、宮古島市で配備の検討が始まった頃の2016年3月3日、宮古島市地下水審議会学術部会に提出された洗浄剤・油脂のリストには品名、規格、備考(カタログ名等)が記されている。
部会はこれらを基に審議し、委員から「有害な有機フッ素などを含む洗浄剤もある。このような物質を含む汚水は、油水分離槽で処理できないものもあると思われ、合併処理浄化槽でも処理できないと考えられる」などと懸念する意見を受け、地下水に悪影響を与える可能性があると判断。その後、配備場所が変更された経緯がある。
連絡会は「品目のみの記載では、どういう物資を含むのか安全性などを検討することができない。なぜ石垣市と宮古島市で提供される情報に差があるのか」と指摘。さらに防衛局が市に情報提供する際、「現時点では具体的な品名・規格は決まっていないが、市販品等を使用する予定」と回答したことを「来年3月末には配備を予定している石垣市で『決まっていない』などと言えるのか」と疑問視する。
その上で、車両整備場だけでなく駐屯地内で使用されるすべての洗浄剤・油脂など薬剤類の品名・規格の提供を防衛局に求め、安全データシートなどで安全性を明らかにするよう要請した。(以下略)
上:沖縄防衛局から石垣市に提供された車両整備場で使用される見込みの品目のリスト。
下:宮古島市に提供された品名リスト