陸上イージス停止「宮古も落下危険性」「新たに中距離弾配備か」 自衛隊「南西シフト」シンポ
2020年6月29日 琉球新報
【東京】20日に東京の鳩山会館で催されたシンポジウム「自衛隊南西シフトと新冷戦」(東アジア共同体研究所琉球・沖縄センター主催、琉球新報社共催)では、軍事ジャーナリストや本紙記者らが出席し、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」計画停止の展望や、琉球弧への日米による「南西シフト」の実態、日米地位協定の問題などが議論された。
軍拡が進もうとする中、ミサイル軍縮の動きを日本から東アジアに広げていく必要性などが提起された。講演者らの話と討論の様子などを詳報する。シンポジウムの様子は7月13、20日の動画投稿サイト「UIチャンネル」でも放映される。
<出席者>前田哲男氏(軍事ジャーナリスト)小西誠氏(軍事ジャーナリスト)吉田敏浩氏(ジャーナリスト)※ビデオメッセージ 新垣毅氏(琉球新報政治部長)新垣邦夫氏(東アジア共同体琉球・沖縄センター事務局)鳩山由紀夫氏(東アジア共同体研究所理事長、元首相)
.....................................................................................『住民軽視の部隊配備』(小西氏)
与那国から石垣、宮古、沖縄本島、奄美、馬毛島、佐世保、北九州へと南西諸島への自衛隊基地建設が着々と始まっている。警備部隊、普通科部隊ではなく、ミサイル部隊だ。
宮古島の部隊のミサイルは今は空だ。保良地区の弾薬庫問題がある。これだけ住宅に近い弾薬庫が地上覆土式である。全国を見ると地中式だ。有事ではすぐ破壊されて持たないだろう。住宅との保安距離の問題に加え、イージス・アショアと同じブースター落下の危険性がある。それが宮古、石垣、奄美で住民で一言も説明されていない。非常に重大な問題だ。馬毛島も米軍の空母艦載機訓練基地だけでなく、自衛隊の基地として位置付けられている。奄美も含め薩南諸島全体が後方支援基地と機動展開の拠点となっている。
今後始まるのが沖縄本島への地対艦ミサイルの配備だ。このままいけば琉球弧全体がミサイル開発競争の渦中に叩き込まれる。
さらに米海兵隊、米陸軍とともに、南西諸島への対艦ミサイル配備に乗り出してくる。昨年、自衛隊の地対艦ミサイル部隊と米陸軍の部隊が共同訓練した。
自衛隊の南西シフトで琉球弧全体に地対艦ミサイル網を敷いて、米軍も第一列島線上に配備して島嶼戦争体制に入ってきた。
中国を東シナ海から出さないという体制で、具体的な配備態勢が共同訓練含めて始まっている。
(以下略)