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「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」共同代表の山城博治さんからの投稿です。山城さんの11月23日の「県民大集会」への強い呼びかけをぜひお読みいただき、奥武山運動公園に足を運んでほしいと思います。よろしくお願いします。
■沖縄を再び『地獄の戦場(いくさば)』にさせないために
山城博治(当会共同代表、「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」事務局長)
Ⅰ.戦場(いくさば)にしようとするのは誰か
1.米国の呪縛―「台湾有事」
なぜ中国が台湾に武力侵攻するのか。なぜ中国が沖縄の島々に侵攻するのか。バイデン政権は根本的なところには一切触れず、ただ「攻めてくる」と脅し煽り、ついに「台湾有事は日本有事」と日本を政府挙げた戦争体制へと突入させた。日本は米国の呪縛から解放されなければならない。米国の対中国戦争のお先棒を担がされる限り、先の戦争と比較にならない地獄を避けることはできない。戦争へ向かう流れを止めよう。
2021年3月に、米インド太平洋軍デービッドソン司令官(当時)が「台湾有事」の「脅威は今後10年間ではっきり表れるだろう。実際のところ6年だ」と述べた。なぜそうなるかについては一切説明していないのに、以降日本政府までが「27年台湾有事」説を唱えた。
6月29日には、中山康秀防衛副大臣は「中台有事になった場合沖縄に直接関係する。沖縄県民は覚醒せよ」と言い放った。一番ひどい発言だ。腹が立って仕方がない。沖縄へのあからさまな恫喝。この発言が国会でなぜ問題にならないのだろうか。
22年1月の日米・外務防衛担当閣僚会議(2プラス2)と日米首脳会談で、敵基地攻撃能力の保有を含め防衛力を抜本的に強化し、防衛費GDP2%増額の方針が定まり、昨年末の「安保三文書」につながった。
しかし中国政府は「台湾が独立すると言わなければ軍事侵攻はない」と再三明言しており、他方で台湾の世論も圧倒的に「現状維持」を望んでいる。そのことからすれば、近々に台湾海峡をはさんで「有事」が勃発するとは考えにくい。戦争は、米国政権が強引に台湾蔡英文総統をして独立志向に追い立てるか、あるいは台湾への武器供与を強めて中国政府が看過できない緊迫した事態を作り出すかしないかぎりおきない。
2.安保関連三文書(沖縄・南西諸島戦争遂行作戦文書)の既成事実化
安保関連三文書とは、沖縄を中心とする「南西諸島」が戦場になることを大前提に、中国とどう戦うかを明文化した作戦計画書である。沖縄・南西諸島に直接かかわる箇所をいくつか紹介する。
「わが国への侵攻が生起した場合は、主たる責任をもって対処し、同盟国などの支援を受けつつ、阻止・排除する」。「自衛隊の海上・航空輸送能力を強化するとともに、民間輸送力を最大限活用する。特に南西地域の空港・港湾施設などを整備・強化し、利用可能な範囲を拡大する」。「10年後までに火薬庫の増設を完了する。主要な司令部の地下化を進める」。
すでに自衛隊は南西諸島へ重点配備されつつある。「主たる責任」は米軍ではなく自衛隊にあり自衛隊が戦い、その兵站として「南西地域の空港・港湾施設」「火薬庫」などを整備し、相手の攻撃目標となることから、「司令部の地下化」を進める。出撃と兵站の拠点となる南西諸島はじめ日本が戦火に覆われることを想定し既成事実化されている
「スタンド・オフ防衛能力」強化として「12式地対艦誘導弾能力向上型を開発。地上発射型は25年度まで、艦艇発射型は26年度まで、航空機発射型は28年度までの開発完了を目指す」。「米国製巡航ミサイル『トマホーク』など外国製スタンド・オフ・ミサイルを導入する」。「地対空誘導弾パトリオット・システムを改修し…能力向上型迎撃ミサイルによる極超音速滑空兵器への対処能力を向上させる」などと明記されている。日本から中国を攻撃するためのミサイル配備先こそ、沖縄・南西諸島だ。
「琉球新報」(23・6・23)によれば2016年以降の自衛隊の新編・移設部隊は以下のようになっている
与那国駐屯地には、与那国沿岸監視隊(16年)第53警戒隊(一部・22年)が配属。石垣駐屯地には、八重山警備隊(23年)、地対艦誘導弾部隊(熊本の建軍駐屯地から移設)、地対空誘導弾部隊(長崎の竹松駐屯地から移駐)。23年3月16日には石垣駐屯地が開設され、同18日には対艦ミサイル、対空ミサイルを駐屯地へ搬入。宮古島駐屯地には、宮古警備隊、第7高射特化群、第302地対艦ミサイル中隊が20年までに移駐し、保良訓練場内弾薬庫一部供用開始(21年)に加え新たな弾薬庫建設計画が公表された。那覇駐屯地には22年に陸自電子戦部隊、知念分屯地―陸自電子戦部隊が配属された。
今年度以降の計画で判明しているのは、陸上自衛隊勝連分屯地に地対艦ミサイル部隊配備予定(23年)、陸上自衛隊沖縄訓練場内への弾薬・燃料集積補給拠点設営予定(23年)、陸上自衛隊宮古島駐屯地に新たな弾薬庫建設公表、北大東島に移動式レーダー配備(24年以降)などである。
3.政府に取り込まれる市町村自治体
しかし該当する自治体首長は政府にとり込まれている。特に軍事基地化が強行されている与那国、石垣、宮古がそうだ。
与那国町の糸数健一町長は、今年2月に有事を防ぐには「抑止力が一番大切」と言い、7月に来島した松野博一官房長官に、住民の避難シェルター機能を備えた町役場庁舎の建設や、町内に5つある公民館へのシェルター設置を要望した。
石垣市の中山義隆市長は、敵基地攻撃能力を行使できる装備の配備の可能性について「仮に配備となっても大きな懸念はなく基本的には容認だ」と2月に述べた。松野官房長官に対して市長は「離島住民の避難には空路と海路以外にない」と述べ、市民や観光客の避難に向けた空港や港湾施設の機能強化、避難完了まで安全を確保するシェルター設置を求めた。空港や港湾施設整備は「有事」の際自衛隊が使用するためで、まやかしだ。
宮古島市の座喜味一幸市長は、陸上自衛隊保良訓練場(保良弾薬庫)への弾薬搬入に関連して昨年11月平良港の使用を許可した。また北大東島へのレーダー基地建設について、北大東村宮城光正村長は7月に「自衛隊を配備することで村民も安心して暮らす環境整備ができる。災害時の復旧のほか自衛隊が担う急患搬送もスムーズにいき時間短縮も期待」と述べた。
Ⅱ.反撃に転じる沖縄
私たちは米軍辺野古新基地建設反対を訴えて活動してきた。しかしここ数年、米軍ではなく自衛隊が前面に出て、沖縄の軍事要塞化に着手して来た。そして「安保関連三文書」によって、一気呵成に米軍は端役で自衛隊が前面に戦う体制が作られようとしている。そして地元自治体の態度に示されるように反対すべき側にも困難が付きまとっている。
一方、自衛隊基地建設がはげしくなった2010年代以降、「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」、「宮古島平和ネットワーク」、「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会」、「(石垣)島を戦場にさせない市民の会」、「いのちと暮らしを守るオバーたちの会」、「与那国島の明るい未来を願う・いそばの会」「ミサイル配備から命を守るうるま市民の会」、「自衛隊の弾薬庫等建設に反対する沖縄市民の会」など多くの団体が立ち上げられ活動してきた。また昨年2022年1月には「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」が発足し、「安保関連三文書」の狙いを県民に訴え、自衛隊の公的施設使用やシェルター設置など自治体の対応に反対する抗議・要請行動もおこなってきた。
そして昨年末に「再びの沖縄戦に反対する全県組織立ち上げ準備委員会」を結成し、県庁広場で「島々を戦場にするな!沖縄を平和発信の場に!2・26緊急集会」を開催し1,600人が参加。さらに北谷町で「島々を戦場にするな!沖縄を平和発信の場に!5・21平和集会」を2,100人で成功させ、延々12回の会合を重ねついに7月25日正式に「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」を設立した。
「県民の会」の共同代表に沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さん、前南城市長の瑞慶覧長敏さんが就任した。女性の共同代表の人選も進める。事務局長は山城博治が務める。具志堅さんは「沖縄を戦場にさせないという一点が目的の会だ」と訴えた。7月25日現在で、60余の団体・個人が呼びかけ団体(人)となった。今後、県や県議会、各政党、オール沖縄会議、連合沖縄などの労働団体、平和団体に、保守・革新を問わず政党各党に協力を呼び掛けていく。
そして、9月24日(日)に沖縄市民会館大ホールで「県民の会」設立報告集会を開催し800人の参加を集めた。引き続き11月23日(文化の日)に那覇の県立奥武山陸上競技場で「沖縄を再び戦場にさせない県民大集会」の開催を決定した。
こうした中で画期的なことは、若者とシニア世代に橋がかけられる動きである。辺野古新基地建設反対運動の現場に限らず、若者の姿が見えないことに、60年、70年の安保世代は焦燥を感じてきた。「県民の会」準備会の会議の中で、若者から「先輩たちの活動に尊敬と感謝はあるが、若者は憎しみや怒りのエネルギーが満ちている場所にはいかない」と衝撃的な問題提起を受けた。当初は反発も含め議論が続いた。そして2・26集会の名称をめぐる議論で、若い女性からスローガンに「争うよりも愛しなさい」を加えてほしいと提案され、シニア世代は驚愕したが受け入れを決断した。そして集会でも若者が前に出てくれるようになった。彼らは運動を拒んでいるのではない。そこに入る扉が見出せなかっただけだ。彼らは対話を求めている。積極的な意見交換・交流で大きな動きにつなげていきたい。
Ⅲ 玉城県政も平和外交を開始
昨年12月17日に石垣市議会では、陸上自衛隊石垣駐屯地への「反撃能力を持つミサイル配備は容認できない」意見書が、一部保守系議員も含め賛成多数で採択された。市長は「国防は国の専権事項」と言い続けているが、市民には大きな後押しになる。
今年3月31日に沖縄県議会は「沖縄を再び戦場にしないよう日本政府に対し対話と外交による平和構築の積極的な取り組みを求める意見書」を賛成多数で採択した。玉城デニー知事は「反撃能力ある装備の県内移設に反対」を明言し、6月に東京を訪れ、反撃能力のあるミサイルなどを県内に配備しないよう政府に要請した。さらに玉城知事は7月5日から訪中し李首相と面会した。玉城知事は李首相との会談で「日本と中国の友好関係に貢献したい。安定的、建設的な対話によって地域の平和が保たれるようにしたい」と述べた。李首相は知事の要請に対し「地方や民間交流は重要で、地域間交流を支持する」と応えた。軍事緊張が渦巻く中でまさにタイムリーな訪中であり発言であった。沖縄大衆は「中国・琉球の歴史を通じた交流のさらなる発展を希望している」ことが知事の口から述べられ、沖縄が決して中国と戦火を交えることを望んでいないことを知事は伝えた。これに先立ち、習近平国家主席は「(福建省)福州市で働いた際、琉球との交流の根源が深いと知った」と発言、6月4日付の共産党機関紙・人民日報が一面で報じた。
日本政府の対中国強硬論のみが突出する中にあって、戦争ではなく平和の構築を願う県民の思いが中国に届けられた画期的で歴史的な出来事であった。知事は平和のメッセージを送り、私たちは最前線の現場で、その知事を支え連帯して取り組んでいく。
Ⅳ 反撃の展望
いよいよ沖縄の反撃が始まる。私たちは再びの沖縄戦を許さない。78年前の惨禍を繰り返させない、その決意で総決起し反撃する。「無謀な戦争に入るな!」「ミサイルよりは対話を!」を掲げて、全県下にそして全国に訴えて政府の暴走を止めていく。9月24日の「県民の会」設立・キックオフ集会、11月23日の県民大集会はその出発点だ。
8月8日に麻生自民党副総裁が訪台し、「日本、台湾、米国をはじめとした有志の国に、非常に強い抑止力を機能させる覚悟が求められている。戦う覚悟だ」「金をかけて防衛力をもっているだけではだめだ。台湾海峡の安定のために使う明確な意思を相手に伝えて、それが抑止力になる」と暴言を吐いた。自民党の鈴木政調副会長は麻生発言に関し「政府内部を含め、調整をした結果だ」と述べた。中国は激しく反発している。
「県民の会」は8月13日に、麻生発言に抗議する緊急集会を那覇市で開き、発言は和平の芽を摘み取るもので、県民に「戦争を覚悟せよ」と語ったに等しいと批判し、麻生氏や岸田文雄首相に謝罪と発言撤回を求める宣言を採択した。岸田政権の安保政策が中国政府にどのように映っているかが真剣に問われなければならない。自衛隊が沖縄の先島の島々に持ち込んだ短距離の対空ミサイルや対艦ミサイルの配備で終わるならまだしも、「敵基地攻撃能力」を実行するために長距離ミサイルを開発配備する事態に至れば状況は一変し緊張は高まる。最大の課題は、沖縄・南西諸島全域へのミサイル配備、とりわけ政府が開発を進める射程1,000㎞以上の長距離ミサイルの配備を食い止めることである。一触即発の軍事緊張をつくらせない。私たちの大衆運動がそのことをどこまで担えるか。困難な課題ではあるが、今後そのことを最大の目標に運動を取り組んでいく。
沖縄・南西諸島だけの問題ではない。熊本では自衛隊司令部の地下化、大分の弾薬庫設置などすでに報じられている。「重要土地規制法」による指定地区域が東京横田、神奈川座間、横須賀などでも具体化している。
11・23県民大集会は日本を戦場にさせない運動の出発点として全国に呼応を訴えたい。10月だけでも千葉、神奈川、東京、埼玉、静岡、名古屋、大阪、兵庫などでオルグを受け入れていただく。私たちは力の限り闘う。全国の皆さんが我が事として共闘されることを期待します。*
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「二度と沖縄を戦場にさせない」
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