自民総裁選という茶番劇が終わり、いよいよ総選挙です。いまだに自宅放置されている人々が3万人もいる中で、政権交代は待ったなしだと思います。
ただ、野党第一党である立憲民主党が9月24日に発表した「平和を守るための現実的外交」( https://cdp-japan.jp/news/20210924_2169 )を見ると、「辺野古新基地建設の中止」以外はあいまいかつ危うい内容が散見されます。
「市民と野党の共闘」のかけ声のもとで、置き去りにされてはならないテーマがいくつもあると思います。その中でも重要と思われるのが、南西諸島への自衛隊配備の問題です。立憲民主党はいまだに「自らの政権が南西シフトを決めた」として、自衛隊基地の建設に反対していません。
南西諸島で基地建設に抗する人々とつながりながら、首都圏で「NO!」の声をあげてきた「大軍拡と基地強化にNO!アクション」が、「南西諸島への自衛隊配備の中止を総選挙公約に」と題した以下の要請書を公表し、団体賛同を募ることにしました。集約したうえで、立憲民主党のキーパーソンに提出します。
◆ご賛同いただける団体は【10月4日(月)までに】
kojis@agate.plala.or.jp に、団体名と連絡担当者のお名前・ご連絡先(メールアドレス)をお知らせください。件名欄には「要請書に賛同します」とお書きください。
<この件 問い合わせ先 090-6185-4407(杉原)>
※期間がわずかですので、大至急広めてください。多くの声を束ねて、立憲民主党に政策の見直しを迫りたいと思います。"まっとうな政権交代"の実現のために。
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【要請書】
立憲民主党 代表 枝野幸男 様
幹事長 福山哲郎 様
代表代行 選挙対策委員長 平野博文 様
国会対策委員長 安住 淳 様
政務調査会長 泉 健太 様
副代表 つながる本部長代行 辻元清美 様
南西諸島への自衛隊配備の中止を総選挙公約に
2016年に与那国駐屯地が開設されたのを皮切りに、2019年には宮古島駐屯地、奄美大島に奄美駐屯地と瀬戸内分屯地が開設されました。そして、石垣島では駐屯地の建設工事が進み、奄美大島でも火薬庫の工事が進められ、与那国駐屯地でも新たに電子戦部隊を配備するための庁舎の増設が検討されています。
これらにおいて、環境アセスメントは一つも実施されていません。当時の沖縄県環境アセスメント条例が改変面積50ヘクタール以上の工事に適用されるのを悪用して、宮古島、石垣島では50ヘクタールよりわずかに少ない面積で申請し、アセスを回避して工事を強行しました。
さらに、駐屯地建設にあたっての住民への説明は、嘘さえ含む極めていい加減なものでした。その最たるものは、実際には弾薬を保管する「火薬庫」であるのに、「貯蔵庫」とする説明でした。宮古島では住民に何の説明もないまま多目的誘導弾を搬入し、当時の岩屋防衛大臣が謝罪し、一度撤去する事態となりました。
枝野代表は2018年5月に宮古島を訪問されています。「「強い軍事拠点であるほど攻撃されやすくなる」と指摘。現政権の配備計画は他国が攻撃の意思を持っている場合に備える「最小限の自衛権」の範囲を超えているとの考えを示した」と沖縄タイムス(2018年5月28日)は報じています。
また、2019年9月には、立憲民主党をはじめとする「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」の議員のみなさんが宮古島を訪問し、宮古島駐屯地と着工直前の保良弾薬庫予定地を見学されています。
しかし、保良弾薬庫の建設は強行されてしまいました。保良弾薬庫へのミサイル搬入は、防衛省・沖縄防衛局が情報を一切開示しないため、本年5月、琉球海運をはじめとする海運会社が「乗組員の安全を確保できない」として輸送を拒否するに至りました。防衛省は海上自衛隊の輸送艦での輸送を計画しましたが、宮古島市の座喜味市長が平良港の使用を認めなかったために、搬入は頓挫したままです。弾薬庫からわずか200mのところで生活を営む住民もいるのに、事故の際の避難方法について防衛省は何の情報も提供していないままです。
鹿児島県西之表市の馬毛島に建設予定の新たな基地は、米軍空母艦載機のFCLP(陸上の滑走路を空母の甲板に見立てて行う離発着訓練)と自衛隊のヘリ空母「いずも」や、空自戦闘機部隊の訓練のためとされており、島全体を軍事基地にするものです。現在、環境アセスメントの手続き中ですが、防衛省の作成した方法書に対して、八板・西之表市長、塩田・鹿児島県知事から、その内容の不備を厳しく批判する意見書が防衛省に提出されています。
さらに防衛省は、島々への配備を狙う12式地対艦ミサイルの射程距離の延伸を目指し、2022年度の防衛予算概算要求に379億円を計上しています。射程距離が現在の約120kmから900kmを超える長距離攻撃兵器に改造されれば、まさに「専守防衛」を実質的に放棄し、自衛の範囲を大きく超えるものになります(防衛省は「令和2年度政策評価書-12式地対艦誘導弾能力向上型」で射程距離を明示していませんが、ネット-TOKYO EXPRESS 2021年1月10日付、「産経新聞」2020年12月29日付参照)
現在の自公政府・防衛省が進めている自衛隊による「島嶼防衛」、自衛隊の「南西シフト」は、東シナ海・南シナ海域、ひいては東アジア全体の軍事的緊張を高める危険な戦略に他なりません。米中対立が深まる中で、7月6日の麻生副総理の「台湾有事は存立危機事態に関連してくる」、9月8日の中山防衛副大臣の「(台湾有事は)他人事ではない。自分事だ」など、要職にある自民党議員から軽率な発言が相次ぎ 中国の反発を引き出しています。
また、イギリスの空母クイーン・エリザベスの来航を機に、8月25日から9月9日まで「パシフィック・クラウン」と名付けられた日本、アメリカ、イギリス、オランダ、カナダの共同訓練が沖縄周辺海域、東シナ海等で連続して行われました。訓練海域には中国軍の偵察機が飛来しました。その終了の翌日の10日、中国の潜水艦が奄美大島近郊の海域を潜没航行し、イージス艦も同行していました。さらに11日には種子島近郊の海域を中国の艦隊が通過をしました。かつてなかったことです。日中間の外交交渉が無いに等しい現状の中で、軍事的緊張が高まりつつあることを、私たちは深く憂慮します。
福山幹事長は8月28日のテレビ番組で「新しい防衛大綱を作って、南西諸島の防衛に陸上自衛隊をシフトしたのは我々の政権の時ですから、それをやらなければならない」と述べました。また、枝野代表はその著書『枝野ビジョン』において、民主党政権が定めた「南西方面の島嶼防衛」などのアプローチこそが「真に責任ある姿勢である」と綴っています。私たちはこうした姿勢に強い危惧を覚えます。
貴党は、戦争の危険性を封じ込める徹底した平和外交のビジョンをいまこそ、提示すべきではないでしょうか。自衛隊駐屯地と火薬庫の相次ぐ建設、長距離ミサイルの配備計画に、身近に危険を感じる島々の人々の声に耳を傾けてほしいのです。総選挙に臨む貴党におかれては、政策としてエスカレートする防衛費の増大をどうコントロールしていくのか、またどのような外交政策を掲げるのかが鋭く問われています。
私たちは、南西諸島への自衛隊増強を中止し、住民との真摯な対話に立ち戻ること、そして、配備計画を撤回することを強く求めます。そのことを総選挙の公約に盛り込まれることを強く期待します。
2021年9月28日
【呼びかけ】大軍拡と基地強化にNO!アクション2021
<構成団体>
有事立法・治安弾圧を許すな!北部集会実行委員会
北部労働者法律センター気付 TEL・FAX 03-3961-0212
立川自衛隊監視テント村 TEL・FAX 042-525-9036
パトリオットミサイルはいらない!習志野基地行動実行委員会
TEL 090-3509-8732 FAX 047-456-5780
武器取引反対ネットワーク
メール anti.arms.export@gmail.com
TEL 090-6185-4407(杉原)
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