平和・立憲・人権をつなぐ全国自治体議員会議
辺野古基地建設のための沖縄防衛局の埋立変更承認申請に関して国が提起した代執行訴訟について、去る12月20日、福岡高裁那覇支部は沖縄県に対し、12月25日までに承認することを命ずる判決を言い渡しました。これにより、26日以降は沖縄県の承認如何にかかわらず国の代執行が可能になります。
判決は、普天間飛行場が人の生命に与える危険性を指摘した上で、知事が辺野古移設工事にかかわる埋立承認命令に従わないことでその危険性を放置し、それが社会的「公益」に反するとしています。しかし、普天間飛行場の危険性を「放置」しているのは沖縄県知事ではなく、「辺野古が唯一の解決策」に固執する日本政府であり、「危険」をもたらしている基地そのものです。沖縄に過剰な基地負担を押し付け、その危険性の除去を名目に、沖縄の環境や県民の平穏な暮らしを破壊するのは、著しく正義に反します。普天間にも辺野古にも基地はいらないという沖縄県民の意思こそ真の「公益」であり、それを無視する今回の不当な判決を、私たちは決して容認できません。
辺野古移転の工事は今後も十数年を要します。普天間と辺野古の双方の地域に長期にわたって不利益を与え続ける施策が「唯一の解決策」になりえないことは明らかで、「移転」「辺野古」を前提とせず、普天間基地の危険性を一刻も早く除去する責任が政府にはあります。
今回の判決は一方で、その付言において、「(沖縄の)歴史的経緯等を背景とした本件埋立事業に対する沖縄県民の心情もまた十分に理解できる」とし、「国と沖縄県とが相互理解に向けて対話を重ねることを通じて抜本的解決の図られることが強く望まれている」としています。まさにそのような対話を沖縄県がこれまでも重ねて求めて来たにもかかわらず、政府はそれを拒絶し強権的な対応を続けて来ました。政府が代執行の根拠を判決に求めるなら、その同じ判決で求められた沖縄県との対話に向け、真摯に対応する責務があるはずです。
また、政府の対応や一連の司法判断は、沖縄に限らず、地方自治そのものにかかわる重大問題であり、行政学の専門家をはじめ多くの批判の声が上がり、特に今回明確になった国の「裁定的関与」の問題については、全国知事会もその見直しを強く求めています。政府は代執行を今すぐ取り下げ、沖縄県民の意思に向き合い、多くの市民や自治体から発せられる声にも耳を傾け、玉城知事が求めている基地問題での対話の場を設けるよう、強く要請します。
私たちは、民主主義や地方自治を踏みにじる政府にあらためて抗議するとともに、沖縄県民を代表して国と対峙する玉城知事を支持し、知事を支援する沖縄県民の皆さんに引き続き心からの連帯と支援を表明します。そして、平和で人権が大切にされる公正な社会に向けて、日本の政治を転換していくこと、そのために地域から行動し声を上げていくことを、あらためて強く決意します。
以上
2023年12月24日
平和・立憲・人権をつなぐ全国自治体議員会議
共同代表:玉田 輝義(大分県議会議員/無所属)
仲村 未央(沖縄県議会議員/立憲民主党)
西崎 光子(元東京都議会議員/東京生活者ネットワーク)
松谷 清(静岡市議会議員/緑の党グリーンズジャパン)
遊佐 美由紀(宮城県議会議員/立憲民主党)
(本声明内容の問い合わせ先:中山均・新潟市議 nakayama14@gmail.com)