塩田新知事、馬毛島どう向き合う 米軍機訓練移転 賛否両派働きかけ
2020/7/29 6:00西日本新聞総合面上野和重河野大介
鹿児島県知事選(今月12日投開票)で初当選した塩田康一氏(54)が28日、知事に就任した。県政課題の一つが馬毛島(西之表市)への米軍機の陸上空母離着陸訓練(FCLP)移転問題。自衛隊基地整備を目指す国による馬毛島の買い取りが進む中、島の約12キロ東にある種子島では、騒音や安全性への懸念と、過疎化に悩む地域への経済効果などの期待が交錯する。思惑が絡む国策にどう向き合うか、新知事の手腕が問われる。
「国の考え方や、地元住民と自治体の考えを聞いて調整を図りたい」。知事は28日の就任会見で、移転問題への対応を問われ、こう語った。
2日前の26日、西之表市であった「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」の総会。防衛省が港湾施設建設のために馬毛島東岸で計画する海上ボーリング調査を批判する声が上がった。「基地建設への具体的な作業の第一歩。何としても阻止したい」
海上ボーリング調査を県に申請するには、地元漁協の同意や市長の意見書提出が必要で、法に基づき知事が許可するかどうか判断する。防衛省は漁協への説明を始めている。
連絡会の総会では、人口1万5千人ほどの同市で、6月末までに集めた署名4927筆を添え、知事へ訓練移転反対を早急に申し入れることなどを決めた。山内光典事務局長(69)は「塩田氏は種子島、屋久島の観光振興を掲げている。訓練移転は反対してくれるはずだ」と期待する。
移転推進の住民グループも活発に動く。昨年12月発足の「馬毛島の自衛隊・FCLP訓練を支援する市民の会」は、約2500筆の署名を集め、国による住民説明会開催を要望。杉為昭事務局長(53)は基地関連の交付金や、自衛隊員や家族の転入に伴う地域活性化を期待する。「早めに交渉のテーブルに着き、メリットを最大限に、デメリットを最小限にしてほしい」
(以下略)