◆6/8南種子町長面会報告と町長提出要望書批判
馬毛島への米軍FCLP(空母艦載機陸上離着陸訓練)移転のための自衛隊新基地建設計画にゆれる種子島。そこの一番南にある南種子(みなみたね)町の小園裕康(こぞの ひろやす)町長は、5月15日、防衛省に「自衛隊施設誘致に係る要望書」を提出しました。南種子町に自衛隊馬毛島基地関連の施設の建設を要望したものです。町内の民間団体「南種子町自衛隊施設誘致推進協議会」と連名です。また、同じ内容の要望書を5月17日に自由民主党の衆議院議員森山裕氏に、やはり連名で提出しています。
私達は、このことを6月4日の南日本新聞の報道で知りました。この記事の中には、町長の発言として「協議会から誘致推進の要望があった一方、反対意見は届いておらず、施設誘致が住民の意向と判断した。」「基地整備が進む前提での要望。計画への賛否表明ではない」というふたつの発言も紹介されていました。私達は、一昨年12月、小園町長の就任後まもなく馬毛島への米軍FCLP移転に反対するよう要請しています。このとき、町長は以下のように発言していました。
「馬毛島へのFCLP移転問題は基本的に西之表市の問題であり、南種子町としては賛否を表明しない。個人としては、米軍には来て欲しくない。戦争には反対だ。」
私達はこの発言を一定評価しておりました。それだけに今回の行動に驚き、その真意をただすべく面会を申し入れました。
6月8日午後4時から、南種子町役場で面会しました。私達は、南種子町の会員を含む8名でした。役場からは町長の他に企画課長と総務課長補佐が同席しました。
町長は、私達の質問に対し
1 南日本新聞記事の内容、自分の発言、ともにそのとおりである。
2 要望書は5月15日に提出した。
3 このことでは、特に議会と相談はしなかった。町長としての判断である。
4 このことで、特に町民の意見を聞くことはしていない。
5 馬毛島新基地建設にむけて、施設整備計画が進んでいる。防衛省からの問い合わせを受けて、南種子町として協力できることを要望したのだ。米軍FCLP移転への賛否とは関係無い。
等の居直りともとれる発言が続きました。
私たちは、そうであれば、厳重に抗議する。町長として判断したと言うが、南種子町長の印鑑をおすことは、町民全体を背負っての行動のはずだ。施設誘致は、普通に考えれば、FCLPへの賛成の立場の表明である。選挙で公約していることでもなく、さらに議会や町民の意見も聞かず、西之表市とのすりあわせも無く、町長として賛成の立場で行動したのは軽率だ。前回の面会時の立場に戻って欲しい、と申し入れました。
資料として防衛省への要望書のコピーをもらいました。そこには、中国と覇権争いをする米軍のアジア戦略と、それに追随する防衛省べったりの情勢認識が書かれ、馬毛島基地建設がわが国の防衛上の重要な課題とまで書かれています。さらに、防衛省が、馬毛島基地関連ではひとことも発言していない「宇宙作戦隊」にまで言及し、南種子町にある宇宙センターと関連させています。日本は「宇宙条約」を批准しており、そもそも宇宙作戦とは無縁の施設です。また、南種子町は、宇宙センター開設時に国に平和利用を確約させる文書まで交わしているのです。平和な種子島とは不釣り合いな好戦的な文書です。
私達は、小園町長が、私達に言った「戦争には反対だ」という姿勢に立ち返って欲しいと思います。十年後、二十年後に私達の子供や孫たちにどんな種子島を残すかを、もう一度考えてください。