11月10日 12時20分NHK
在日アメリカ軍などが使う自衛隊基地の建設計画が進められている西之表市の馬毛島で、防衛省は近く、基地建設に使用するコンクリートの製造プラントの設置工事に向けた入札手続きを行う方針を明らかにしました。
環境影響評価の手続きが進められている中で本体工事に関わる入札手続きが行われることに、西之表市の八板市長は「自衛隊施設の本体工事に直結するもので、承服できない」と強く反発しています。
西之表市の馬毛島では、防衛省が在日アメリカ軍の空母艦載機訓練の移転先などとして自衛隊基地を建設する計画で、すでに島のほとんどを国有化し環境影響評価やボーリング調査を進めています。
こうした中、防衛省は近く、コンクリートなどを製造する仮設プラントの設置工事に向けた入札手続きを行う方針を明らかにしました。
防衛省は今月中に入札公告を行い、来年1月には受注業者を決めたいとしています。
プラントは馬毛島以外で製作し、組み立てや設置などの工事は環境影響評価書の公表後に島で行うとしています。
工事の総額は西之表市の今年度の当初予算額153億円を上回るおよそ170億円となる見通しで、製造されるコンクリートは、基地建設に伴う滑走路や港湾施設などの整備に使用されるということです。
防衛省は「環境影響評価の手続き終了後に速やかに着手できるよう、今からできる限りの準備を行いたい。住民への説明を含め、ご理解を得ながら進めていきたい」としています。
これに対し、10日記者会見した西之表市の八板市長は「自衛隊施設の本体工事に直結するもので、承服できない」と強く反発しました。
そのうえで、八板市長は「これまで防衛省からは、基地そのものを作るかどうかについてはまだ決定しておらず、その決定をするために環境影響評価や海上ボーリング調査を行っている段階だと説明を受けてきた。こうした中で滑走路に使われるコンクリートを作る設備を発注するというのは、おかしいのではないか。少なくとも環境影響評価などを示し住民に説明した後で進めるべきだ」と述べて、防衛省の動きに強い不信感を示しました。
また、県もNHKの取材に対し「国は入札公告を行う前に環境影響評価の結果などといった住民の判断材料を示すべきで、このようなことは了承しかねる」とコメントしています。