馬毛島海上ボーリング調査 西之表市長、防衛省に意見書提出 「漁場に影響が生じる可能性」
2020/11/03 10:00南日本新聞
防衛省が西之表市馬毛島で計画する自衛隊基地整備と米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転に伴う海上ボーリング調査について、同市の八板俊輔市長は2日、「漁場環境に影響が生じる可能性を否定できない」とする意見書を同省整備計画局に送った。先に地元漁協が同省に提出した同意書とともに、同調査の許認可権限を持つ県知事への申請に必要な地元提出分の書類がそろう。今後は申請を受けた県の対応が焦点となってくる。
同省は11月中の調査着手の意向を示しており、近く申請するとみられる。
市は現場海域でトコブシ(ナガラメ)の稚貝放流など漁場保全に長年努めてきた経緯がある。八板市長は取材に、「施設整備がまだ何も決まってない段階での調査着手はやめるべきだ」と述べた。
防衛省は9月9日、馬毛島海域に漁業権を持つ種子島漁協から(1)岩礁破砕(2)海底土地使用(3)海底土地土石採取-の3点について調査の同意書を取得。同11日付で市に対し、同意書に添える意見書の提出を求めていた。
防衛省地方調整課は「西之表市から送付の連絡は受けた。内容を確認した上で県とも協議し、できるだけ早期の調査着手に向けて適切に対処する」としている。
県によると、防衛省から申請があると、担当課で書類を審査する。地元の理解や調査方法、海底への影響が可否の判断材料となる。過去の事例では可否判断に2週間程度かかっている。
塩田康一知事はこれまで海上ボーリング調査について、「法令に沿って要件を満たしているかどうか、きちんと内容が整っているかという観点で判断したい。基地の賛否とは切り離して精査していく」としている。